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辺野古工事再開、一日も早い移設の実現を


 政府が米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設に関連する工事を約2カ月ぶりに再開した。

 玉城デニー知事は辺野古移設に反対しているが、日米同盟の抑止力維持と普天間飛行場の危険除去のために政府は工事を進めるべきだ。

沖縄は県民投票実施へ

 県が8月末に埋め立て承認を撤回したため、工事は中断していたが、石井啓一国土交通相が撤回の効力を一時停止させたのを受けて再開された。年内に埋め立て予定地へ土砂を投入する方針だ。

 安倍晋三首相は国会答弁で「現行の日米合意に基づき、抑止力を維持しながら普天間飛行場の一日も早い全面返還を実現するため全力で取り組む」と強調した。辺野古移設を着実に推進する必要がある。

 工事再開を受け、玉城氏は「極めて残念だ」と述べて政府との協議を求めた。対抗措置として総務省の第三者機関「国地方係争処理委員会」への審査申し出も視野にあるが、話し合いを優先する考えのようだ。だが、辺野古移設を阻止しようとする玉城氏が協議に臨んでも平行線に終わるだけだろう。

 沖縄県議会では、辺野古移設の賛否を問う県民投票条例が、社民、共産両党など県政与党の賛成多数で可決、成立した。投票は来春までに行われる見通しだが、法的拘束力はなく、たとえ反対票が多数だったとしても混乱を招くだけではないのか。

 沖縄の基地負担が重いのは事実だが、それは沖縄が核・ミサイルを手放そうとしない北朝鮮や軍拡を続ける中国をにらむ戦略的要衝であるためだ。日本を取り巻く安全保障環境が厳しさを増す中、抑止力を低下させるわけにはいかない。

 中国は沖縄県石垣市の尖閣諸島の領有権を一方的に主張し、尖閣周辺では中国公船が領海侵入を繰り返している。その石垣市議会は県民投票に反対する意見書を可決している。中国の強引な海洋進出に対する危機感の表れだろう。玉城氏に、こうした安全保障の観点が欠けているのは残念だ。

 一方、日米両政府は沖縄の基地負担軽減に努めてきた。2016年12月には米軍北部訓練場(東村、国頭村)の過半に当たる約4000ヘクタールが日本側に返還された。辺野古移設も負担軽減の一環であることを忘れてはならない。

 石垣市議会の意見書は、県民投票について「(移設の)埋め立ての賛否のみを問うもので、米軍普天間基地移設計画の主眼である危険性の除去について県民の意思を示すものではない」と批判している。普天間飛行場の周囲には小学校や病院、住宅地などが密集する。

 04年8月には隣接する沖縄国際大の構内に米軍ヘリコプターが墜落した。昨年12月にも付近の小学校で米軍ヘリの窓枠が落下する事故が起きている。

普天間の危険を除去せよ

 多くの周辺住民を巻き込み、死者が出るような大事故が発生すれば、日米同盟を大きく揺るがすことにもなりかねない。普天間飛行場の危険除去のために、一日も早い辺野古移設の実現が求められる。