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行き渡らない「選挙公報」


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 普天間米軍基地から爆音をなくす訴訟団(普天間爆音訴訟)の原告の一人が、普天間飛行場の早期撤去と辺野古移設を明言した宜野湾市議選の新人候補を激励に訪ねた。

 「ここに書いてあるあなたの主張は本当なのですね。私は一番共感できました」

 第2次普天間爆音訴訟は2016年11月、周辺住民3417人が、国を相手取って米軍機の飛行差し止めと騒音被害に対する損害賠償などを求めたもの。

 この男性はこの訴訟団の一人だ。原告のほとんどは、普天間飛行場を運用停止し、早期撤去してほしいという思いで参加していたが、さまざまな思惑がある人がいて、訴訟団の中に温度差があることを感じていたという。

 「最初は純粋な気持ちで騒音をなくすことを望んだ」と話すが、訴訟団が求める普天間飛行場の「無条件撤去」や「即時撤去」というスローガンは現実性がない“絵に描いた餅”であることに気付き、距離を置くようになった。

 男性が選挙事務所を訪ねるきっかけとなったのは、「宜野湾市選挙公報」だ。ただ、県内では選挙公報があまり浸透していない実態がある。宜野湾市では、投票日の前日に届いた世帯もあるなど、配達日が遅い問題が指摘された。

 配布すらしていない自治体も多い。本紙の調べでは、9日に投開票された5市議選のうち、名護と石垣は発行していないことが分かった。

 選挙公報は、公職選挙法に基づいて各選挙管理委員会が公費で発行するもの。国政選挙や知事選では発行が義務付けられているが、首長選と議員選での発行は任意だ。投票率が右肩下がりとなっているからこそ、自治体には積極的な選挙公報が求められる。

(T)