知事は反基地活動家の味方?


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 1月29日、沖縄県東村高江の米軍北部訓練場のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)工事に関連する二つの裁判で注目される動きがあった。

 一つは、2016年9月に高江で反基地活動家が暴力行為を受けたとされる傷害事件。この初公判が那覇地裁で開かれ、傷害罪に問われている同村カナンファームの依田啓示代表(44)は「正当防衛の範囲内だ」と否認した。

 起訴状によると、依田氏は道路で私的検問していた活動家の男女2人を殴り、全治3日のけがをさせた。公判では、被告側弁護人から通行車両を止める権限がないと指摘されると、原告の女性は「分からない」と述べた。さらに、原告の2人は「その時初めて会った」「お互いに交流している」と、食い違ったことで、原告の証言の信憑(しんぴょう)性に疑問符が付いたと言える。

 もう一つは、同年のヘリパッド建設抗議活動で、反対派の担当弁護士が現場近くで警察官に約2時間、車両の通行を制止されたことで県を訴え、那覇地裁で県が敗訴した件。この訴訟で、翁長雄志知事はこの日、「控訴しない」と発表したのだ。

 県警は控訴したいと知事側に伝えていたにもかかわらず、翁長氏は「1審判決は重く受け止めるべきだ」と判断。控訴しない理由として「工事に際し事前に十分な説明がないまま資機材の運搬が強行されるなど、地域住民の日常生活に影響を及ぼしていた」と述べた。

 住民への影響を及ぼしたのはむしろ過激な反対運動の方ではないか。翁長氏の判断は、「表現の自由」の名の下で過激な反基地活動にお墨付きを与えたようなものだ。

 県警を“敵”に回してまでも反基地運動の肩を持った翁長氏は、「活動家のリーダーに成り下がってしまった」と自民党県連幹部は批判している。

(T)