沖縄の健康長寿は昔の話?


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 厚生労働省が13日に発表した2015年の都道府県別平均寿命で、5年前の前回調査で3位だった沖縄女性は7位に、同26位だった沖縄男性は36位に、それぞれ後退した。

 詳しくデータを見ると、沖縄は肺と肝臓の疾患が全国ワーストで、喫煙や飲酒が原因になっていることは明確である。

 5年前は、男性の順位から「26ショック」と県内に衝撃が走ったものだが、今回はどのメディアも「36ショック」などとは口にしないのはおろか、ほとんど話題に上がっていないのが現状だ。

 知人・友人にこのテーマを振っても、「ほら見たことか」「何ら驚きでもない」と、“想定内”の結果にそっけない回答しかない。

 一方、女性が2回連続1位で、男性は1位と僅差の2位となった長野県は安定した長寿を誇る。野沢菜の漬け物をはじめ塩分を控えめにするなど、県民挙げて食生活の改善をした結果だとされる。

 沖縄県の取り組みはどうだったのか。「健康長寿おきなわ復活県民会議」の中で、①健康診断の受診率アップ②肥満の解消③適正飲酒――の3本柱を挙げている。「とりもどそう!健康長寿おきなわ!!」というキャッチフレーズの下、ポスター、新聞広告、テレビCMなど、啓蒙(けいもう)活動に力を入れたが、残念な結果となった。夜型生活や飲酒習慣、メタボの改善のための取り組みを強化しているものの、結果に表れていない。

 南国気質なのだろうが、「てーげー」(適当)「なんくるないさ」(何とかなる)という沖縄独特の文化があだとなっているかもしれない。「食べすぎに気をつけて」という人は皆無に等しく、「かめーかめー」(食べなさい)と勧めてくるのが普通。健康のためにはこうした誘惑を断る勇気も必要だ。

(T)