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米軍人の利他精神に共感の輪


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄市の沖縄自動車道で1日午前、車両6台が関係する多重事故が発生。巻き込まれた米海兵隊のヘクトル・トルヒーヨ曹長(44)は車外に出て、先頭車両の負傷者を救出しようとしていたところ、後方からきた車にはねられて、重傷を負った。

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重病で入院中の米兵に励ましのメッセージを寄せる沖縄県民=10日、浦添市牧港

 県内中部の病院に救急搬送された後、米サンディエゴの病院で集中治療を受けている。現在も予断を許さない状況にある。

 ヘクトルさん運転の車は、横転した車の後方で停止した軽自動車に接触。路肩に車を停め、横転した車の日本人ドライバーの救助に向かおうとした矢先にはねられてしまった。自らのことよりも人助けを優先するという利他精神の表れだった。

 ところが地元紙の反応は冷たかった。2日付の琉球新報は社会面で「多重事故で米兵重体」という見出しを付け、事故の経緯をこう説明した。

 「Yナンバーの普通乗用車を運転していた米海兵隊曹長の男性が前方の車と接触事故後、車外に出たところ米海兵隊2等軍曹(28)の乗用車がはねた」

 まるで米兵が多重事故を引き起こしたような印象を与える書き方だ。しかも、けが人の日本人の安全確保のために行動したことを地元紙は一切報じていない。

 妻のマリアさんは3日、フェイスブックにこう書きこんだ。

 「最愛の夫は28年間、私のヒーローです。(中略)無私な即応的行動が真の勇敢さを表しています。私の心は今にも張り裂けそうです。彼のためにお祈りをしてください」

 ヘクトルさんの行動に共感する輪は日米で広がっている。ヘクトルさんを知る米軍属の女性は心境をこう述べている。

 「米軍人・軍属、日本人、ウチナーンチュ(沖縄県民)、関係ありません。彼はただ、そこに助けなければいけない人がいたので助けただけなのです」

(T)