オスプレイはアジア太平洋の平和の礎


普天間航空基地司令官 マーク・カーペス大佐に聞く

北ミサイル抑止機能持つ在沖米軍

 ドナルド・トランプ米大統領が5日、横田基地で在日米軍らを前に演説し、東アジアの安全保障における日米同盟の重要性を強調した。その一方で、沖縄では垂直離着陸機オスプレイや大型ヘリコプターの事故が相次ぎ、革新勢力が海兵隊撤退やオスプレイ配備撤回を求めている。普天間航空基地(宜野湾市)のマーク・カーペス大佐に、在沖海兵隊駐在の必要性、オスプレイ配備の意義などについて聞いた。(聞き手・豊田 剛)

宜野湾市とは友好的建設的関係

 ――日本、特に沖縄をめぐる安全保障環境についてはどう考えるか。

オスプレイはアジア太平洋の平和の礎

普天間航空基地司令官 マーク・カーペス大佐

 海兵隊は陸海空の部隊が密接に連携する部隊で、即時にハイレベルで対応できる能力を持っている。在沖海兵隊は、アジア太平洋地域の安定を促進する抑止力となっている。他方では、人道支援や災害救援支援に万全の体制で備えている。最近では2015年の熊本地震に派遣した。

 東アジアの安全保障環境をめぐっては、沖縄の南西諸島の領土領海への挑発行為が続き、昨年2月から北朝鮮のミサイルが地域の安全を脅かしている。在沖米軍基地がそれらの抑止機能を持っている。

 年間、約5兆㌦の貿易品がアジア太平洋のシーレーンを通っているが、在沖米軍と自衛隊のおかげで航行の自由、言い換えれば、安全な経済活動が守られていることも忘れてはならない。

 ――今年7月に普天間基地司令に就任したが、現在の心境は。

 私自身、4回目の沖縄赴任になる。過去3回は10年以上前になるが、そのうちほとんどはAH1のパイロットとして沖縄を離れて訓練していたため、沖縄の人々や文化と接する機会が少なかった。

 沖縄は美しい島や海を意味する言葉で「美ら島」や「美ら海」があるが、沖縄県民のたくましさや優しさを表現する「美ら人」という言葉がないことに驚いた。これも謙遜する県民性の表れなのかと思う。

 今回は沖縄の人々と会い、文化に触れることができる。これが大きな違いでありチャンスである。

 ――基地司令という立場では、地元との連携が欠かせないのでは。

 普天間飛行場は宜野湾市に取り囲まれる形で存在している。市との関係は力強いものがあり、市や普天間日米友好協会などとは友好的で建設的な関係を築いている。地域との円滑な連携を図るため、普天間基地、キャンプ・フォスター、海軍病院、そして、宜野湾市が4カ月に一度、会議している。

 宜野湾青年エイサー祭り、宜野湾産業まつり、宜野湾市内一周駅伝などは普天間基地のグランドを開放して開催している。また、海兵隊員は地域の一員としての自覚を持って、海岸や福祉施設の清掃活動、無料の英会話レッスンにいそしんでいる。

 最近は県内外の大学が見学に訪れ、普天間基地が日米同盟に果たす役割について説明している。

 ――昨年12月、沖縄本島の東海上で空中給油訓練中のオスプレイが名護市東海岸の浅瀬に緊急着陸して大破した。沖縄県民の安全に対する不安は払拭(ふっしょく)されていない。

 オスプレイはとても信頼できる航空機で日米同盟を維持するためには欠かせない。従来のヘリコプターとは違う設計や機体が人々の疑念や批判を招いているが、安全な乗り物だ。

 緊急着陸するごとに、あたかも悪いこととして報道される。自動車を運転していて、もし何らかのランプが点滅したら、停車して整備に出す。これと同じことだ。幸いなことに、機体にはすぐに不具合を感知して表示させる機能があるため、操縦士は安全に着陸させ、乗組員や地域のダメージを最大限、防ぐことができる。

 操縦士と乗組員には海兵隊にとっての家族の一員であり、彼らにも実際の家族がいる。彼らをあえて危険な航空機に乗せることはしない。オスプレイはこれまで、アフガニスタンや海軍強襲揚陸艦など、世界中で必要とされるところに派遣されている。米国でもニューヨーク、カリフォルニア、ワシントンDCのような人口密集地の上空も飛行している。

 航行速度、航続距離、積載量はどれをとっても従来のヘリを大きく上回り、人道支援や災害救援で真っ先に到着するのがオスプレイだ。オスプレイのプレゼンスが、日米同盟の強さであり、すなわち、アジア太平洋地域の平和の礎となっている。

 ――10月には大型ヘリCH53が東村に緊急着陸し炎上したが。

 沖縄県民に迷惑を掛ける結果になってしまったが、こうした緊急事態でパイロットは地域の被害を最小限にとどめ、乗組員の安全を守るための最善の判断をしたことは評価すべきだ。民有地の所有者をはじめ、地元の関係団体の協力のおかげで、円滑に撤去作業をすることができた。

 ――普天間基地ゲート前の激しい抗議活動については。

 キャンプ・シュワブのゲート前のように道路内での活動は危険で大きな心配事となっている。数年前に普天間基地のフェンスが汚されたが、宜野湾市や地元警察が憲兵隊と協力したおかげで最近は秩序が保たれている。


=メモ= マーク・カーペス

 1970年、米国アイダホ州生まれ。ポートランド州立大学で機械工学学士号を取得後、攻撃ヘリのパイロットとして配属。ジョン・ホプキンズ高等国際関係大学で、国際公共政策の修士号を取得。卒業後、海兵隊総司令部、PP&O(計画、政策、運用)の策応部に配属された。