「改憲し尖閣守れ」と百田氏


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 「沖縄の2紙(琉球新報と沖縄タイムス)をつぶさないといけない」の発言で知られるベストセラー作家の百田尚樹氏(61)が10月27日、沖縄県名護市で講演した。

 人懐っこく歯に衣着せぬ話しぶりで終始、会場を盛り上げた百田氏だが、日本を取り巻く安全保障環境に話が及ぶと、会場の雰囲気に緊張感が漂った。

 中国の軍拡・領土拡大の野心について百田氏は、「漁船が尖閣諸島(石垣市)に緊急避難し、自国民を助ける目的で上陸するのが確率の高いシナリオ」と分析。「毎日、何十隻もの漁船が尖閣諸島に近づいていて、こうした動画を全世界に発信することで実効支配をアピールしようとしている」と危機感を募らせた。その対策として、「攻撃されないと反撃できない憲法は早く改正し、自衛隊を軍隊に格上げすべきだ」と訴えた。

 百田氏の講演の真骨頂は沖縄メディア批判だ。「翁長雄志知事ら沖縄の政治家は二つの新聞に逆らえない」と指摘し、「沖縄の真の支配者は二つの新聞」であると強調。「新聞は社会の木鐸(ぼくたく)として、真実と正義のために信念を貫くべきだ」と訴えた。

 講演に先立ち、百田氏は米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾(ぎのわん)市)の移設先である名護市辺野古を訪れ、米軍キャンプ・シュワブゲート前の反基地活動運動の拠点を視察した。ただ、この日は台風22号が沖縄本島に接近していた影響で活動家の姿はなく、拍子抜けだった様子。

 百田氏の沖縄訪問は25年ぶりだが、「これからは毎年来る」意向だという。翌28日に宜野湾市で開催される予定だった講演会は台風の影響で中止になった。主催者側は「できるだけ早く振り替え講演を実現したい」と語っている。次回こそは、日常のゲート前の風景を見てもらいたい。

(T)