夏休みの那覇空港で危機一髪


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 8月中旬、那覇空港で離陸を待つ機内で、アナウンスが流れた。

 「離発着する航空機で混雑しているため、10分ほど待機いたします」

 10分後、いよいよかと思った瞬間、次のアナウンスが流れた。

 「滑走路に燃料と思われる液体が見つかりました。現在、調査中ですので、しばらくお待ちください」

 せっかくの夏休みの家族旅行が台無しになりはしないかと冷や冷やしたものだが、定刻より40分遅れて離陸し、大事を免れた。ただこの日、那覇空港ではドミノ倒しのように出発が遅れた。

 こうした事態は珍しくはない。繁忙期の那覇空港は過密だ。

 民間旅客機と貨物機、自衛隊機などを合わせた2016年度の那覇空港の着陸回数(速報値)は、前年度比で4504回(5・7%)増え、8万3189回となり、過去最多を更新した。

 昨年度から今年度にかけて、1日当たりの離着陸回数が、国が定める基準値を超えていることも明らかになっている。

 空港別の着陸回数は全国5位だが、滑走路1本当たりの数では、福岡に次ぎ全国2位という過密さだ。これ以上、離発着を増やせないほど限界にきている。

 今年7月に沖縄を訪れた観光客は90万人余で、7月度としては過去最高を記録した。月間90万人を超えたのは昨年8月に続いて2回目となる。

 また、月ごとの統計では、58カ月連続で前の年の同じ月を上回っている。

 だからこそ、滑走路の増設、ターミナル整備を含めた那覇空港の能力向上は急務だ。2020年に予定されている第2滑走路が完成するまで、増え続ける観光客にいかに対応するか、関係者は頭を悩ませている。

(T)