浦添市長が那覇軍港「受忍」


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 浦添市長選が4カ月後に迫っている中、再選を目指す松本哲治氏がこのほど、市政報告会を行い、4年弱の市政を総括し、再選に向けて強い意欲を示した。翁長雄志知事がどんな手を打ってくるか気掛かりではある。

 浦添市は日米両政府の合意により、米軍の那覇軍港の移設先に決まっている。儀間光男前市長は移設容認を公約に3期を務めたことからも、軍港の浦添移設は市民の間ではほぼ決着済みの問題だ。松本氏も出馬当時、軍港の容認を表明していた。

 ところが、2013年2月の市長選の最中に、自民、民主、社民、社会大衆党の相乗り候補を刺客として送り込んだ翁長氏(当時は那覇市長)が、「浦添への移設とは切り離して那覇軍港を先行返還させる」と明言した。

 これを受けて、松本氏は「浦添市が受け入れずとも軍港が返還されるのであれば、賛成する意味がない」と反対に転じた。

 三つどもえの選挙戦を制して松本氏が当選した直後、状況が急変した。翁長氏も那覇市の城間幹子市長もともに、日米合意通りに進めることを支持。これを受け、松本氏は「受忍する」と表明した。

 城間氏はこのほど、那覇市議会定例会で「浦添市長の考えが変わったとしても、容認の立場は今後も変わりません」と述べ、那覇軍港の浦添移設を堅持する方針を確認した。

 普天間飛行場の名護市辺野古沖への移設に伴う埋め立てに「いかなる手段を用いて」も反対することと、美しいイノー(礁湖)が残る浦添の海を埋め立てて軍港を造ることに賛成することの整合性について、翁長氏、城間氏ともに明言を避けている。

 浦添市長選は来年2月に投開票予定。(T)