沖縄2紙記者の一時拘束


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄県東村高江地区周辺で国が進める米軍のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)の移設工事で、反対運動を取材していた沖縄タイムスと琉球新報の記者2人が一時拘束された。

 高江地区では参院選直後の7月22日以降、本格的な工事が始まったことをきっかけに、抗議する反基地活動家と機動隊の衝突が激化している。こうした中、今月20日に工事車両の通行を防ぐため県道に座り込んだ活動家らを機動隊が排除した際、取材していた2紙の記者も強制的に移動させられ、一時拘束された。

 沖縄タイムスは抗議声明を発表した。

 「本紙(沖縄タイムス)記者は市民らの抗議活動を通常通りに取材し、県民の知る権利に応えようとしていたもので、こうした警察権力による妨害は、憲法で保障された報道の自由を侵害するものであり断じて許すことはできない」

 琉球新報も21日付朝刊で「報道の自由を侵害するもので強く抗議する」とする編集局長の談話を掲載した。

 沖縄マスコミ労組は「報道の自由は憲法の下に保障されているものであり、時の権力がそれを脅かすとなれば、我々は、断固それを拒否し、ペンとカメラで政権の横暴に対峙していく」との声明を発表した。

 これに対し、警察関係者は、「大勢のもみ合いの中では記者かどうか見分けがつきにくいことがある。記者だと分かってあえて拘束することはない」と、意図的な拘束ではないことを強調した。

 2015年2月に名護市辺野古のキャンプ・シュワブで活動家がゲートに不法侵入した容疑で拘束された際、2紙のカメラマンも基地敷地内に侵入していたことが映像で明らかになっている。(T)