浦添商が無念のコールド負け


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 第98回全国高校野球選手権大会沖縄大会では嘉手納が優勝し、初めての全国への切符を手にした。

 決勝戦はワンサイドゲームとなってしまったが、大会を通じて波瀾(はらん)万丈の展開の試合が多かった。糸満、沖縄尚学などシード校4校、春のセンバツに出場した興南が3回戦までに姿を消してしまったことは誰が予想できただろうか。

 最も県民の心に残っているチームは浦添商ではないだろうか。浦添商は夏の甲子園に4度出場、2008年にはベスト4まで勝ち上がった強豪校だ。9日に那覇市の沖縄セルラースタジアムで行われた3回戦の小禄―浦添商戦でドラマがあった。

 8回表を終えて浦添商が1点リードしていたが、降雨コールドにより敗れるという残酷な結末になった。8回裏、小禄の攻撃の途中、雨が強くなったため、15分間中断。試合続行は不可能と判断され、7回裏終了時点でリードしていた小禄の勝ちとなった。

 大雨の中、浦添商の選手は円陣を組んだり、キャッチボールを続けたり試合続行を信じている様子だった。応援団も状況を受け入れられず、呆然(ぼうぜん)としていた。

 高校野球では、雨天コールドは無情にも試合を打ち切る一方で、延長15回で決着がつかない場合は再び1回表から再試合をする。県高野連の又吉忠理事長は「規定の適用に問題はなかった」とコメントしている。

 浦添商ナインは、翌日に行われた那覇商―小禄の試合で小禄の応援に駆け付けた。この姿に共感の声が広がっている。

 浦添商など県予選で敗退した64校の思いを託された嘉手納の活躍に期待したい。(T)