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日米地位協定上の軍属範囲縮小、日米同盟強化につなげよ


 日米両政府は沖縄県で起きた元米海兵隊員の軍属による女性殺人事件を受け、米側に優先的な裁判権が認められている日米地位協定上の軍属の範囲見直しに関する合意の内容を共同発表した。

 軍属を4分類し、対象範囲を実質的に縮小して日本側の裁判権を拡大するもので日米友好関係維持の点から歓迎される。

 四つに分類して限定

 これまでは日米地位協定において軍属の範囲が曖昧だった。そこで今回、範囲を限定し、縮小することになった。

 日本の在留資格を得た場合は軍属から除外する仕組みも導入する。米軍属とされてきた者による犯罪への抑止効果が期待される。

 今後数カ月の日米交渉を通じて、法的拘束力を持つ文書を作成し、細部を規定することになった。それによって合意に重みを持たせ、米側にも内容を周知徹底させることが必要だ。

 日米地位協定上の軍属による公務中の犯罪については米側が優先的裁判権を持つ。軍属は同協定1条で「米国籍を有する文民で在日米軍に雇用され、勤務するもの」となっており、事実上米側の恣意(しい)的な解釈で決められてきた。

 そこで今回の合意では、軍属の範囲を四つに分類し、これに当てはまらない場合は、公務中であるかどうかにかかわらず、日本の司法手続きに従うことになる。

 四つの分類は①米政府予算で雇用された文民②米軍が運航する船舶・航空機の乗務員③米軍関連の公式目的で滞在する米政府の被雇用者④民間の技術アドバイザーやコンサルタントで、高度な技術・知識を持ち、米軍の任務に不可欠な者――となっている。

 米軍属による女性殺人事件は、公務外だったため、地位協定が捜査の支障になることはなかったが、日米両政府はこの米軍属が軍属の対象外になるとの認識を共有した。岸田文雄外相が指摘するように、軍属についての分類が明示されることにより、その範囲が縮小される意義は大きい。

 さらに注目されるのは、日米共同発表で①軍属としての適格性を定期的に見直し、地位の抹消方法などについて統一的な方針を適用する②軍人・軍属に教育・研修プログラムの受講を義務付け、家族にも推奨――とうたっていることだ。

 米側が軍人・軍属の犯罪などによる日米関係悪化の阻止に、いかに気を使っているかを示すものとして評価されよう。

 沖縄には2013年3月末現在、米軍人は2万7791人、米軍属は1885人いる。範囲を限定することで軍属の人数は減るだろう。今回の合意は遅きに失した感があるが、日米同盟関係強化のためのプラス効果が期待される。

 綱紀粛正が望まれる

 今回の合意でも、米軍人・軍属の公務中の犯罪について米側に優先的な裁判権があり、公務外でも米側が先に容疑者の身柄を確保すれば、日本側が起訴するまで米側が拘束できることは変わらない。

 その特権にふさわしい米側の綱紀粛正が望まれる。