自民は変わらず辺野古移設の必要性訴えよ


 沖縄県議選では、翁長雄志知事を支える県政与党系(社民、共産両党など)が過半数を維持した。

 翁長知事は米軍普天間飛行場(宜野湾市)の名護市辺野古移設に反対しているが、普天間の危険性除去と抑止力維持のためには欠かせない。政府や自民党は、その必要性を引き続き訴えていかなければならない。

 沖縄県議選では敗北

 この選挙では、13選挙区に71人が立候補し、名護市選挙区(定数2)で無投票当選が決まった2人を除く69人が46議席を争った。先月起きた米軍属による女性死体遺棄事件を受け、辺野古移設の是非や日米地位協定の扱いなど米軍基地をめぐる問題が争点となった。

 辺野古移設阻止を唱える翁長知事を支える県政与党系は、米軍属の事件について「米軍基地があるが故の犯罪だ」として地位協定の改定も主張していた。選挙に勝利したことで、こうした主張を一層強めよう。

 一方、辺野古移設を支持する県政野党系の自民党は、どれほど選挙戦でその必要性を訴えることができたか顧みなければならない。今回の選挙結果が来月の参院選に影響することは間違いない。しかし政府や自民党は揺らぐことなく、辺野古移設について今後も県民に粘り強く説明していくべきだ。

 辺野古移設をめぐっては、沿岸部埋め立て承認を翁長知事が取り消し処分としたのは違法だとして、政府が昨年11月、代執行訴訟を起こした。この訴訟では今年3月に和解が成立し、政府は移設工事を中止したが、「辺野古移設が唯一の解決策」との立場は変えていない。

 もともと、辺野古移設は普天間飛行場の危険性除去が原点にある。移設によって騒音被害は軽減し、基地面積も半分以下となる。「県外移設」にこだわれば、普天間の返還が遅れ、危険な状況が続くことになる。辺野古移設は日米間の約束事でもあり、実現しなければ日米同盟が揺らぎかねない。

 南シナ海で軍事拠点化を進める中国は、沖縄県石垣市の尖閣諸島の領有権も一方的に主張し、尖閣周辺では中国公船の領海侵入が繰り返されている。在沖縄米軍基地の戦略的重要性は高まっていると言えよう。

 一方、米軍属の事件について、安倍晋三首相は先月の主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)の際に開かれた日米首脳会談で、オバマ大統領に「断固抗議する」と伝えるとともに、実効的な再発防止策の徹底を求めた。オバマ氏は「深い遺憾の意」を表し、日本の捜査に全面的に協力すると述べた。

 在沖縄米軍は今月24日まで、沖縄に滞在するすべての米軍人に午前0時以降の外出禁止や基地以外での飲酒禁止を命じた。それにもかかわらず、米兵の女が沖縄県嘉手納町の国道で飲酒運転し、2台の軽自動車に衝突して2人に重軽傷を負わせる事故を起こした。

 安保への悪影響避けよ

 これでは沖縄県民の「反基地感情」が高まりかねない。在沖縄米軍は危機感を持って対応する必要がある。日米安保体制に悪影響を及ぼすことがあってはならない。