沖縄選挙イヤー 宜野湾市、県、参院で攻防


 沖縄県で今年実施される三つの選挙が注目されている。1月24日に投開票される宜野湾市長選は、普天間飛行場の移設の行方を左右するもの。6月予定の県議選では翁長雄志知事を支える与党が過半数を維持できるのかどうか。7月に行われる参議院選挙では、沖縄・北方担当大臣の島尻安伊子氏が改選を迎える。

 宜野湾市長選は「政府」対「県」の代理戦争の様相を呈する。革新政党、革新系団体・労組の後押しを受けて出馬する志村恵一郎氏は、翁長知事が直々に出馬を要請した。父親の恵氏(昨年12月死去)は元自民党県連会長を務めた。2014年11月の知事選で革新から支持を受けて出馬し当選した元自民党県連幹部の翁長氏と重なる。革新政党・労組に那覇市議会新風会や県内大手企業の金秀グループ、かりゆしグループが企業・保守支持層の切り崩しを図る構図。保守系の人物を革新が支えるという構図は知事選と全く同じで、翁長氏の信任投票の色合いが強い。

 元市長の伊波洋一氏が出馬に意欲を示していたとされるが、「保革を超えたオール沖縄」という大義名分で戦うには「革新色が強い候補では勝てない」との判断で、志村氏に白羽の矢が立った経緯がある。現職の佐喜眞淳氏は4年前、自公の推薦を受け、わずか900票差で伊波元市長を破り、約27年ぶりに革新から市政を奪還した。市職労による抵抗を受けながら4年間、「暗い」と揶揄された宜野湾の街に明るさを取り戻した。それでも、もともと革新王国の宜野湾市で楽な戦いは望めない。

 政府としても、今年最初の重要選挙と位置付けている。辺野古移設を確実なものにするためには落とすことはできない。6月の県議選に向けて浮上のきっかけが欲しい自民党沖縄県連としても、自公が推薦する佐喜眞氏の勝利は欠かせない。自民は、4年前の県議選での消極的な戦術が災いし、過半数獲得を逸した。特に、保守地盤の糸満市選挙区で共産党候補の無投票再選を許した。知事選と同日に行われた名護市選挙区の県議補選でも共産候補に議席を奪われた。こうした轍を踏みたくない自民は「県議会がしっかり県政のチェック機能を果たさなければ、翁長知事のやりたい放題になる」(照屋守之県議)と巻き返しを図っている。

 県議選の翌月には参院選が行われる。参議院2期目の島尻氏が沖縄・北方担当相として初入閣したのは異例のこと。「大臣を落とすわけにはいかない」自民党にとっては負けられない選挙だ。

 一方、翁長氏をはじめとする革新勢力および沖縄メディアは島尻氏に批判的だ。ところが昨年末、沖縄関連予算が15年度より10億円多い3350億円になると、翁長氏も謝意を示さざるを得なかった。基地問題は安倍政権にとって平和安全法制、消費税引き上げ、憲法改正と並ぶ最重要課題の一つだ。基地問題が頓挫し、国民の支持が得られなければ政権の求心力は失われることになろう。

(那覇支局・豊田剛)