オキカ導入とバス代値上げ


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 沖縄県内のバス事業者4社(琉球バス交通、沖縄バス、那覇バス、東陽バス)の路線バスで利用できる沖縄初の共通ICカード「OKICA(オキカ)」の導入が先月末から始まった。

 これまでの磁気乗車券・紙券に代わって、電子マネーで運賃を決済するもの。沖縄都市モノレール・ゆいレールで昨年10月に先行導入された。

 バスを普及させるため、県は2012年12月、「わったー(「私たち」の意味)バス党」というキャンペーンを展開。環境保護や交通渋滞解消の理由からバスの利用を促進した。

 今年2月には、バスが渋滞に巻き込まれないようにするため、バス専用レーンの範囲を拡大したものの、バスの定時の運行や渋滞解消にはなかなかつながっていないのが現状だ。

 バスのサービス向上が期待される中、3月1日には県民への十分な周知がないまま定期券の料金が4割も上がり、バス利用者の間で動揺が広がった。

 それだけで終わらない。ICカード導入にあわせて回数券を廃止。学生にとっては大きな打撃となった。

 学生の長距離のバス利用者はポイントが付与され、その率も高くなっているが、割引率は回数券に及ばない。

 バス会社は「ポイント制度で学生には有利にしている」と説明した上で、「精算の時間が大幅に短縮されるために、運行の定時性が保たれ、お客様の信頼につながる」と歓迎している。

 坂道が多く道路が狭い沖縄本島では自転車通学が定着していない。高校生のほとんどはバス利用者だ。

 未成年者への配慮が十分になされた中でのカード決済導入だったのかどうか疑問が残る。(T)