選挙イヤー締めくくる衆院選


沖縄発のコラム:美ら風(ちゅらかじ)

 「さあ次だ」

 今月16日の沖縄県知事選で、投票箱が閉まる午後8時に翁長雄志氏の当確が出ると、3選を目指した仲井真弘多知事の選挙対策本部の関係者は落胆する暇もなく、気持ちを次の衆院選(来月14日投開票)に切り替えていた。

 県選出の衆院議員7人は約1カ月の間、知事選の応援で昼夜を問わず奔走していたが、「こんなに急に解散があるとは思わなかった」と、ある議員秘書。

 沖縄県知事選が行われた16日には、那覇市では市長選と県議補選、市議補選が重なった。四つの選挙の同時開催は異例で、休む間もなく衆院選が訪れ、那覇市選管は悲鳴を上げている。

 那覇市以上に選挙に追われた一年となったのは名護市だ。1月の市長選は米軍普天間飛行場(宜野湾市)のキャンプ・シュワブ辺野古沖への移設が焦点となり、全国が注目した。9月には市議選、そして今月の知事選と県議補選が続いた。名護市の保守陣営は、「常在戦場」を強調した。

 知事選に出馬したばかりの下地幹郎元郵政担当相、喜納昌吉元参院議員の両氏も衆院選出馬へ意欲を見せる。

 翁長県政を誕生させた革新陣営は知事選に引き続き、辺野古問題を争点にして全選挙区での議席獲得を目指す。

 一方、与党側は普天間問題では「早期の危険性除去」という原点に立ち返りながら、「責任ある政治」と高い問題解決能力で勝負する。

 沖縄では、景気回復、デフレ脱却、所得向上が焦点になりにくいのが実情だ。近隣諸国の情勢を踏まえての安全保障全般、特に集団的自衛権の行使、特定秘密保護法についての率直な議論を期待したい。(T)