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「名演説」で逆風押し返す―共和党副大統領候補ペイリン氏

マケイン陣営に弾み


  9月3日、ペイリン副大統領候補(写真)が共和党大会で演説し、「名演説」で逆風を押し返した(2008年 ロイター) [拡大]

 【セントポール(米ミネソタ州)4日早川俊行】当地で開催されている米共和党全国大会で副大統領候補に正式指名されたサラ・ペイリン・アラスカ州知事(44)が3日夜、指名受諾演説を行った。米メディアがペイリン氏に関する疑惑を次々に報じ、副大統領としての資質に疑念が高まる中で行われたが、「単なるホームランではない。満塁ホームランかもしれない」(CNNテレビ)と評されるほどの名演説で逆風を押し返した。大統領候補に指名されたジョン・マケイン上院議員(72)も「われわれの副大統領候補の選択は正しかった」と絶賛、世論の反応次第では選挙戦の流れに影響を与える可能性がある。

 ハリケーン「グスタフ」の米南部襲来で初日のプログラムが大幅に縮小される異例の幕開けとなった共和党大会。2日目から通常の内容に戻ったが、再び共和党を襲ったのは、“ハリケーン・サラ”だった。

 米メディアは、ペイリン氏がアラスカ州ワシラ市長時代、利益誘導型歳出項目(イヤマーク)の予算確保のため、ロビイストを雇っていたことなど、疑惑を次々に報道。さらに極めつけは、同氏の長女ブリストルさん(17)の妊娠が発覚したことだ。これまでペイリン氏の起用を歓迎していた共和党員の間にも動揺が広がった。

 猛烈な逆風にさらされるペイリン氏にとって、事態を打開する「最初で最後のチャンス」(米メディア)となったのが、この日の指名受諾演説だった。

 ペイリン氏は演説で、まず家族や自身のことを紹介。陸軍に入隊した長男のトラックさん(19)がまもなくイラクに派遣されることに触れ、「私も危険な場所に行く息子や娘のために毎晩祈りを捧げるお母さんの一人です」と説明した。

 また、今年4月に出産したばかりの次男トリッグ君はダウン症。ペイリン氏は「私たちの家族も他の家族と同じように山あり谷ありです」と率直な気持ちを吐露した。会場にはペイリン氏の両親、夫、子供のほか、長女の婚約者も姿を見せ、家族のきずなの強さをアピールした。

 一方、民主党候補のバラク・オバマ上院議員の陣営が主張する「ペイリン氏は経験が乏しい」との批判には強く反論。アラスカ州知事として無駄な予算案に拒否権を発動し、約5億ドルの予算を節約したことなど、「改革者」としての実績を強調した。

 特に、オバマ氏に対する批判は歯切れが良く、「オバマ氏は自分の選挙に関しては“勝利”という言葉を使うが、米国が戦う戦争については使ったことがない」「テロ国家は核兵器の獲得に躍起だ。オバマ氏はそんな国々と前提条件なしで会談したがっている」などと鋭い表現で攻撃した。

 ペイリン氏の演説は高く評価されており、民主党寄りとされるCNNテレビのコメンテーター5人のうち、4人が「A」、1人が「B」と採点。「A」を付けたロランド・マーチン氏は「力強いスピーチだった。ペイリン氏は攻撃犬であることを示した。民主党は彼女をそのように扱うべきだ」と述べ、オバマ氏にとって手強い相手になるとの見方を示した。

 ペイリン氏の起用は、マケイン氏にとって「ギャンブル」といわれてきた。人工妊娠中絶に反対し、「小さな政府」を志向するペイリン氏は保守派に人気があるものの、厳しい選挙戦を耐えきれるか不安視されたためだ。

 11月の本選に向け、テレビ討論会などヤマ場は山積するが、逆風を押し返した今回の演説は、マケイン陣営に勢いをもたらすことは間違いない。

 マケイン氏も3日夜、大統領候補に正式指名され、党大会最終日の4日夜に指名受諾演説を行う。

2008/09/04 19:27

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