予算難で米国の囚人人口が減少傾向
犯罪増加に住民の不安強まる
【ロサンゼルス宮城武文】米司法統計局がこのほど発表したデータによると、昨年、州及び連邦刑務所に収監された囚人数は約73万9000人で、釈放された囚人の数よりも3500人多かった。0・8%の囚人人口の増加率は、過去数10年で最も低いもので、世界で一番囚人人口が多い米国に歯止めがかかっていることになるが、背景には州及び連邦の予算難で、囚人を収容する経費が捻出できなくなり、囚人の早期釈放を行う政策などの事情があると、専門家は分析している。
米国の囚人人口は徴兵制が導入されていた1960年代は減少傾向にあったが、70年代に入ると、「法と秩序」の強化で犯罪取締に厳しい政策が打ち出されたことで、囚人人口は増加傾向に転じた。90年代には年間の囚人人口増加率は平均6・5%にも上っている。
専門家は囚人人口増加と徴兵制の因果関係を指摘している。第二次世界大戦、韓国動乱、ベトナム戦争では若者が多数徴兵で戦争に駆り出されことで、犯罪率が高い青年層が米国内で減少したことが囚人人口の減少に繋がったとみている。現在行われているイラク、アフガニスタン戦争では徴兵制が敷かれておらず、志願兵制度をとっている。
米国では治安の悪化が顕著になり始めた70年代から犯罪の取締を強化する政策が打ち出され、囚人人口もそれに伴い、増加するようになり、90年代はそれがピークに達した。
しかし、2007年末から始まった世界的不況の影響で、大幅な財政赤字を抱える州政府が多くなり、コストが掛かる囚人人口を減らす州が多くなってきた。犯罪人の懲役年数が減らされ、保護観察処分に付されるケースが多くなり、また囚人の早期釈放処分も各地で続いている。
こうした処置に住民から不安の声が上がっているが、実際、アーカンソー州で刑期を短縮して早期釈放された元囚人が、ワシントン州で警官4人を射殺する事件や、性犯罪を起こした男が早期釈放され、少女を誘拐して何十年にもわたり監禁する事件が起きている。
2009/12/21 7:05
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