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焦点:アーバン破たんの影響長引く、ローンスプレッドの先行性に関心

 【東京 5日 ロイター】 新興不動産開発会社、アーバンコーポレイション<8868.T>の経営破たんが1カ月近くたった今でも市場に影を落としている。デフォルト(債務不履行)に陥ったアーバンの国内普通社債(SB)が額面を大幅に下回っているほか、不動産流動化ビジネスが大きなダメージを受けた。

 CMBS(商業用不動産ローン担保証券)の発行は難しくなっており、2008年度の発行は激減する可能性が高い。

 一方、シンジケートローン市場では、借り入れコストを示すローンスプレッドが同社の経営破たん前に急激に拡大していたことが話題となっており、今後、特に格付けの低い不動産・建設セクターの経営実態をみるうえで重要な指標のひとつとして意識されそうだ。

 <不動産流動化が冷え込む、物件売却損が表面化>

 不動産流動化ビジネスを積極的に手がけてきたアーバンの破たんは、CMBSの発行減など不動産流動化市場全体を冷え込ませる要因になった。日証協と全銀協がまとめた証券化市場の動向調査によると、2007年度のCMBS発行額は約1兆9000億円。06年度比較で26.5%増となったが、08年度は一転、地価と不動産価格の下落が響き、発行が激減する可能性が高まっている。現状の不動産流動化市場について、新生証券・債券調査部シニアアナリストの宮川淳子氏は「新興不動産開発会社が積極的に手がけてきた不動産流動化ビジネスで、物件売却損と評価損が出ている」と述べた。

 <信用不安再燃でCDSプレミアム高止まり>

 デフォルトに陥ったことで、アーバン発行のSBの気配は額面100円を大きく下回っている。アーバンの第1回SB(償還2009年12月)の気配は2日、20円オファーと、経営破たんした翌日の気配45円オファーからさらに低い水準で推移している。転換社債(CB)も同様で、アーバンが2月に海外市場で発行した総額270億円のCBは5日に20円ビッド、30円オファーと、額面を大きく下回る気配が出た。アーバンの気配について、ある銀行系証券のディーラーは「買いが入りにくい。気配は投資した資金がどれだけ回収できるかを示す値」と話す。

 6月のスルガコーポレーション、7月のゼファー、8月のアーバンと短期間に破たんが相次いだことから、クレジットマーケットに与えた衝撃は大きかった。クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)市場では、アーバンの破たんによって、指標となるiTraxxJapanシリーズ9がワイド化した。破たん翌日のプレミアムは137.5bpと前日比12.5bpもの大幅な上昇となった。格付けの低い不動産・建設セクターの信用力に対する不安が再燃したことで、シリーズ9のプレミアムは現在でも140bp台後半の水準で高止まりしている。

 <ローンスプレッドが破たん前に大幅拡大、経営実態示す>

 シンジケートローン市場では、アーバン3年物のローン参考値が破たん前にすでに4桁となり、7月31日時点では前月から800ベーシスポイント(bp)の大幅な拡大となる2950bpを仲値で付けていた。

 アーバンのローンスプレッドについて、みずほ証券・金融市場調査部シニアクレジットアナリストの高橋光佳氏は「(破たん前に)通常の金利ではなく、驚くほどの高金利でないと借りられなかったことから判断して、アーバンがかなり追い込まれていたことがわかる」と述べた。

 金融機関が新興不動産開発会社への貸し出しを絞り、スルガ、ゼファーと経営破たんが続いていたことから、アーバンの信用リスクへの不安が一気に高まり、ローンスプレッドは大幅に拡大していた、という。

 日本格付研究所(JCR)はデフォルト前の6月4日にアーバンの長期優先債務格付けをBB+に格下げした。BB格は債務履行に当面問題はないが、将来まで確実であるとは言えないということを示す。こうした格付けの低い建設・不動産セクターのローンスプレッドについて、高橋氏は「今後もワイド化する可能性が高い」とみている。

 新興不動産開発会社の経営状況は開発案件の買い手がつかないなど厳しさを増しているため、信用力の急激な低下から資金調達の方法が限られてきている。「資金調達方法が狭まる中、資金を借り入れるコストを示すローンスプレッドは、企業の経営実態をつかむ上で極めて重要な数値といえる。アーバンの場合は、ローンスプレッドが破たんを先見した面があり、先行性があった」(国内大手銀行)との指摘が出ていた。

  (ロイター日本語ニュース 伊藤 武文記者 片山 直幸記者;編集 橋本 浩)

2008/09/05 16:33

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