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円高/株安の連鎖再び、ドル不安収まらず


 11月8日、金融市場ではドル不安が収まらず、円高/株安の連鎖が再び起きている。写真の為替ボードは先月に都内で撮影(2007年 ロイター) [拡大]
 【東京 8日 ロイター】 金融市場では、米国の経済、金融機関に対する不安心理が収まらず、ドルのセンチメントは弱いままだ。ドル/円は朝方つけた112円の安値から一時は1円超戻したものの、下げ止まったとの見方は少ない。日経平均株価が400円以上下げるなど、再び、円高/株安の連鎖が起きている。

 世界のマネーが米国を回避している、との声も出る中で、ドル/円は110円割れの展開になるのか注目されている。米国当局者から米ドルを押し上げるような発言が出ていないこともドルの売りやすさにつながっている。 

 <ドル荒い値動き> 

 為替市場では、朝方、ドル/円が、個人投資家を中心とするドル売りで112円ちょうどまで下げた。前日のNY市場で、主要金融機関の評価損の追加計上の思惑や米ゼネラル・モーターズ(GM)<GM.N>の大幅な赤字決算から、株安とともにドル売りに拍車がかかった流れを引き継いだ。ただ、日中になると、国内の機関投資家や輸入企業、個人投資家などがドルを買い戻す動きに出て113円前半まで1円超反発するなど、動きが荒くなった。 

 市場では、約3カ月ぶりの安値となる111.60円が意識されている。「そこまでは落ちない」(外資系証券)との見方もあるが、「仮に111.60円を割り込んだ後は(そのまま下落し)上昇しにくい」(同)とみられている。日経平均や中国の上海総合株価指数が下落するなか、今後の値動きについては「株価の下げ幅がさらに広がれば、クロス円を中心に売りが出る」(大手証券)とみられている。 

 <110円割れの可能性> 

 その先はどうなるのか。バンク・オブ・アメリカの日本チーフエコノミスト、藤井知子氏は、東京市場では投資家などの買いで値を戻しているが、ドルが下げ止まったとは思えない、という。そのうえで「ドル/円は8月安値の111円台を試す展開となるだろう。ユーロ/ドルは既に買われすぎの水準にあると見ているが、ドルが対ユーロでさらに売られるようなら、ドル安は対円でも加速し、心理的な節目となる110円、昨年5月安値の108.97円を意識する動きとなる可能性もある」と予想している。藤井氏は、米通貨当局が「強いドルが国益」との定番発言をはじめ、ドルを下支えするコメントを出してこないため、市場参加者はほぼ一方向のドル売りを続けることに躊躇(ちゅうちょ)がないようだ、と指摘する。

 <偏り少ないポジション>

 一方、一気にドルが110円割れには至らないと予想するのは、ドイツ証券シニア為替ストラテジストの深谷幸司氏。円売りポジションが積み上がっていないため、ポジション解消による円高圧力はそれほど大きくはない、とみる。同氏は「ポジションのアンワインドによる急激な円高は8月の局面には及ばない。足もとの相場は、積極的な海外勢の円買いがみられないなか、日本勢による円売りが弱いことによる円高局面といえる。証拠金取引への影響はボリューム的には軽微だろう。12月のボーナス支給などにより、年末から年初にかけては円高抑止力も回復してくる」と予想している。

 <マネーの米国回避を警戒>

 米国株急落と1ドル112円台に進んだ円高は東京株式市場を直撃。売り一色となり、午後に入り、日経平均は400円を超える下げとなっている。海外勢は米系、欧州系とも売り先行。有力な買い手が不在のなか、先物に大口売りが頻発し、裁定解消売りを伴う形で下げ幅を拡大させた。

 みずほインベスターズ証券調査部部長の一尾仁司氏は「米国の利下げなどで流動性の供給が過剰となってあふれ出た部分が原油や金、エマージング市場に流れている。一方で、ドル安を嫌気して米国市場にマネーが行かないことが構造問題となっている。原油価格の高騰が続けば世界経済の悪化にもつながるとの恐れで、市場の不安感が高まっている状況」とみている。

 <高止まりする不安心理>

 サブプライム問題は損失拡大という現実悪を消化している段階。大手のメリルリンチ<MER.N>やシティグループ<C.N>に続いて、モルガン・スタンレー<MS.N>が7日、サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)関連の評価損計上で第4・四半期(9─11月期)の利益が25億ドル程度押し下げられるとの見通しを出した。「市場の不安心理は当面、高止まりする」(東海東京調査センターシニア・マーケットアナリストの矢野正義氏)とみられている。「東京市場はオプションSQを明日に控え、先物で現物が揺れやすい時期にある。株価が落ち着くのは来週の7─9月期GDPをみて

からということになりそうだ」(大和証券SMBCエクイティ・マーケティング部部長の高橋和宏氏)との声も出ている。

 こうしたなか、日本株は不安定な動きが続いているものの、「全体的には割安圏に入った」(モルガンスタンレー証券ストラテジストの神山直樹氏)との指摘もある。「9月中間決算の開示が進み、今年度1割以上の経常成長率がみえてきた。1株利益の上昇に反し株価が下落したことでPERも低下している。PERだけみれば、欧米に比べて特段の割安感は出ないが、日本企業の多くは自社株買いや増配などによりROEを高める余地が大きい。潜在的なROE上昇力を評価すれば割安感がある」と同氏はいう。

 <金利はじりじりと低下>

 長期金利が1.5%台に入っても底堅さをみせる円債市場では、きょうも円高・株安を追い風に買いが先行している。トヨタアセットマネジメント運用部チーフファンドマネージャーの深代潤氏は、足元の相場について「市場参加者は相場の上昇についていかざるを得えない状況。為替、株価動向をはじめ外部環境は債券をフォローしており、水準感で買えていない分だけ値もちがよくなっている。米国発の信用不安が懸念されているところに、朝方に発表された(市場予想を下回る)9月機械受注のような風が吹くと、一気に背中を押される形となる」と語る。

 目先の相場については「日銀の年度内利上げが少しずつ難しくなっているうえ、今の段階では景気後退を前提とした投資をしているわけではないにしても、そちらの方向のリスクが大きくなりつつある。利回りでいえば5年債で1.0%割れ、長期金利で1.5%割れというのはデフレの時代の金利水準だが、少なくとも外部環境は金利低下の方向に整い始めてしまっている」とし、「今後は、急速に金利が低下するわけではないが、相場の下値が堅いなかでじりじりと下がり、レンジを少し切り下げてもみあうようなイメージ」と話している。

(ロイター日本語ニュース 橋本 浩記者;編集 石田仁志)

2007/11/08 14:51

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