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日米で再び連鎖株安、サブプライム問題は実体経済の懸念に移行か

 【東京 29日 ロイター】 日米で再び連鎖株安が起きている。米株安や円高が直接の原因だが、ヘッジファンドなどの間で米経済への不安が台頭していることがその裏にある。米住宅価格が急落していることが明らかになり、米サブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅融資)問題は信用収縮への懸念から実体経済への懸念へステージが移行してきた。

 <S&P/ケース・シラーの4─6月期全米住宅価格指数が最大の下落>

 米ダウは28日に280ドルの大幅下落、翌29日の日経平均株価も一時、450円を超える下落となったが、市場では下落幅以上に株価が示唆するものは大きいとの指摘が出ている。サブプライム問題が顕在化して以来、実体経済への影響が不安視されてきたが、それが現実になるかもしれないとの実感がここに来て投資家の間に広がっているためだ。

 市場のセンチメントを大きく悪化させたのは1、つの米住宅関連指標だった。スタンダード・アンド・プアーズ(S&P)/ケース・シラーが28日発表した第2・四半期全米住宅価格指数。全国的な不動産価格や住宅価格を総合的に示す指標が少ない米国で注目度が高い。同指数が前年比3.2%低下、1987年の統計開始以降、最大の低下率となったことで、「住宅価格の下落が根源」(国内投信投資顧問ファンドマネージャー)とされるサブプライム問題が実体経済に広がる懸念が深まった。「住宅を転売したい富裕層やサブプライム以外のローンをかかえる中間所得層にも影響が出てくるかもしれない」(外資系証券)とみられたためだ。

 リーマンブラザーズ証券・チーフストラテジストの宮島秀直氏によると「欧米のヘッジファンドはこれまで逆資産効果問題をあまり考えてこなかったが、あるかもしれないと言い始めた」という。

 <米証券の決算明らかになる9月から正念場か> 

 為替市場でも投資家のリスク回避姿勢が強まり円が買われ、対ドルで一時113円台まで円高が進行。円高を嫌気し輸出関連株が売られる展開になっている。鉄鋼や非鉄、海運、機械などこれまでの人気セクターへの売りもきつい。市場では「主力株は寄り付きで売られた後、それほど下がっていない。ヘッジファンドのポジション縮小が再び始まったという感じではない」(準大手証券投資情報部)との声も出ているが、株が為替を、為替が株を互いににらむ展開が続いている。

 ある国内投信のファンドマネージャーは「本当のサブプライム問題は9月から始まる」と警鐘を鳴らす。9月以降に、米大手証券の決算やM&A(合併・買収)の資金調達の問題、年金基金や商業銀行が持っている合成債務担保証券(CDO)の四半期でのマーク・トウ・マーケット(保有資産を実際の市場レートで計算して現在価値に引き直す)があるためだという。

 S&P/ケース・シラー指数の考案に関与したマクロマーケッツの首席エコノミスト、ロバート・シラー氏は声明で「米住宅不動産市場は下げが減速する徴候をまったく示していない」との見方を示した。住宅価格が低下すると、有利な条件でのローンの借り換えが難しくなる。さらに、エコノミストらによると、過去2カ月の貸し出しは信用度の高い「プライム」層の借り手に対しても抑制されており、向こう数カ月間で住宅関連の統計はさらに悪化すると見られている。

 ある外資系証券のストラテジストは、サブプライム問題の波及ぶりをたとえて「街の安売りスーパーマーケットから高級百貨店に問題が広がる恐れが出ている」と表現する。

 <住宅ローン買い上げ機関の設立求める声も>

 ヘッジファンドに逆資産効果への懸念が浮上したものの、それが本格的な懸念になっていないようだとリーマンブラザーズ証券の宮島氏は話す。「クレジットクランチはヘッジファンドなどの間だけであり、一般企業への融資に広がっているわけではない。住宅価格の下落とクレジットクランチが合わさらないと逆資産効果は起きない。ヘッジファンドでは真性の逆資産効果が起きていると思っている向きは現時点で少ないようだ」という。

 ただ、米大手民間調査機関のコンファレンス・ボード(CB)が発表した8月の消費者信頼感指数は前月から7ポイント近く低下、下げ幅は2005年にハリケーン「カトリーナ」がメキシコ湾岸に上陸した直後以来の大きさだった。サブプライム問題で最も懸念されている米個人消費への懸念は徐々に強まっている。

 ユナイテッド投信投資顧問・シニアファンドマネージャーの高塚孝一氏は「米FFレートが引き下げられて、それでも株価が上向かなかったとき、米経済は深刻な事態に陥る可能性がある。米国は住宅ローンを買い上げる機関の設立などを視野に入れる必要があるのではないか」と述べている。

 (ロイター日本語ニュース 伊賀大記)

2007/08/29 16:26

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