株安/債券高/円高の大波、クレジット問題進展なければさらに混乱か

8月17日、市場の一部では、市場混乱の根源になっている米クレジット問題で米当局が大胆な政策対応をしない限り、株安/円高/債券高は止まらないとの声が出ている。写真は都内で撮影(2007年 ロイター) [拡大]
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【東京 17日 ロイター】 17日の東京市場は、日経平均が800円を超す下落となり2日間で1200円を超す大幅下落となった。他方、国債現物・先物に買いが集中し、長期金利は1.6%を割り込んだ。
ドル/円は112円台に下落し、豪ドル/円などのクロス円でも円高が大幅に進行した。米系ファンドを中心にした海外投機筋の大幅なポジション巻き戻しがこの日も継続。市場の一部では、市場混乱の根源になっている米クレジット問題で米当局が大胆な政策対応をしない限り、株安/円高/債券高は止まらないとの声が出ている。
<海外勢のポジション巻き戻し継続>
17日の日経平均は、午後になって下げ幅を広げ、800円を超す大幅な下落となった。市場では「米系ファンドなど海外勢の株先売り/債先買いが止まらず、日経の下げが加速した」(外資系証券)との声が出ていた。
17日のアジア株式市場では、香港のハンセン指数やソウルの総合株価指数が3%を超える下落となり、MSCIアジア太平洋株指数(日本を除く)は、今週に入って10%を超す下落となった。ある邦銀関係者は「午前の取引では、アジア株の下げが一部で小幅にとどまって、日経平均もいったん下げ幅が縮小する場面があった。しかし、午後になって海外勢の東京市場での株先売り/債先買いに拍車がかかった。彼らのポジション手仕舞いは、まだ終わっていないようだ」との声が出
ていた。
日経平均に関しては「海外勢の売りに加え、個人投資家のポジション手仕舞いも加わっているようだ」(国内証券)との指摘がある。個人投資家の動向では、信用取引の追い証発生にとどまらず、FX(為替証拠金取引)やミニ日経平均先物取引などの担保切れに伴う処分売りも加わっている、との見方が出ている。
<海外勢が株先売り/債先買い>
複数の市場筋によると、17日の円債市場では、米系ファンドなどの海外投機筋が株先売りとセットになったとみられる債先買いを大量に出し、国債先物の急上昇につながったという。国債現物市場では、前日に大幅に買われた2年、5年利付国債に加え、10年利付国債にも買いが集まり、10年最長期国債利回り(長期金利)は1.575%に低下した。市場では「海外勢の国債買いが株先売りとセット出ている。長期金利が1.6%を割り込んだが、クレジット不信が根底に残っているため、水準感で買いが手控えになるマーケットではなくなっている」(邦銀関係者)との声が出ていた。
<OISで9月利上げ予想は40−50%に低下>
無担保コール翌日物は前日の加重平均金利(0.535%)からほぼ横ばいの水準での取引。日銀は1兆2000億円の資金供給を即日実行で通告した。資金の調達意欲が強い背景として、1)利上げ観測はかなり後退したが可能性がまったくないわけではないので、念には念を入れて取っている、2)欧州勢がショート・ファンディングのために取っている─などが市場で指摘されている。
ブローカーデータによると、オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)金利が織り込む8月の金融政策決定会合までの利上げの確率は、10%台まで低下、9月の会合までの織り込みも40─50%程度まで低下している。
「OIS金利が全てではないが、すでに9月の利上げの可能性すら五分五分か、五分を割り込みつつある水準。為替市場、株式市場などが混乱した状態が続けば、実際に来週の8月金融政策決定会合で利上げがなかった場合でも、すぐに『8月がなければ9月』と織り込みにいけるかは難しいところだ」(別の邦銀関係者)との声が出ていた。
<急速な円高で個人投資家は手控え>
ここにきて、大幅な価格変動を演じているのが為替市場だ。円キャリー巻き戻しと投機筋(シカゴ筋)による主要通貨売り/円買いが断続的に出て、16日のNYでドル/円は一時、112.01円まで急落。17日の東京市場でいったん114円台に戻したものの、午後の取引では112円台で推移している。
急速な円高の進展で、個人投資家の取引が手控えになっている。東京金融先物取引所によると、1日の建玉数(午前6時55分から翌5時55分)は、14日が14万1719枚、15日が13万6354枚、16日が9万2207枚。15日から16日までの1日で4万枚以上のポジションを手放したという。(建玉は1枚=1万ドル)
市場では「サブプライムによる損失だけでなく、為替の大幅変動による損失も加わり、ポジションを閉じる動きが本格化している。為替の相場水準ではなく、ファンドがポジションを閉じきったかという量的な問題になるので、市場には不安心理が残っている。テクニカル上でも113円を割り込んだ意義は大きい。昨年5月につけた109円付近がドルの下値めどとなりそうだ」(香港上海銀行・外国為替営業部長の花生浩介氏)との声が出ている。
<米クレジット市場の建て直しが急務、注目集まるFRBの対応>
市場の混乱状況について、冒頭の邦銀関係者は「米系ファンドがNYで資金調達がきちんとできるようにならない限り、世界各国の市場での彼らのロングポジションの手仕舞いは終わらないだろう。事態は深刻さを増している」と述べる。
国内証券のある関係者は「世界のマーケットで流動性が細っていると言う不気味な現象が起きつつある。その中で東京株式市場と円債市場は相対的に流動性が豊富で、海外勢の換金売りの格好の受け皿になった可能性がある」と話している。
この先の展開について、信州大経済学部教授の真壁昭夫氏は「米、欧、日の中銀が大量の資金を市場に供給しているが、これは問題解決の特効薬ではない。信用収縮の起点になっている米クレジット市場が機能不全に陥っており、米クレジット市場の再活性化を図るFRB(米連邦準備理事会)の思い切った対応が必要になってくる」と指摘。そのうえで「利下げとクレジット物の買い切りオペの合わせ技がFRBから出てくれば、マーケットは劇的に回復するだろう」との見通しを示す。
ただ、先の邦銀関係者は「FRBはモラルハザードを心配して、クレジット物の買いオペまではしないだろう。他方、米当局が動かないと事態は進展しない。米財務省とFRBの動向が焦点になる」と話している。
2007/08/17 16:56