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FRBが利下げ正当化する「大惨事」とは

 【シカゴ 16日 ロイター】 米連邦準備理事会(FRB)は、世界的な流動性危機に対応するため、近く利下げに踏み切る必要があるとの見方が大勢になっているが、その前にクリアすべき大きなハードルもある。

 今回の金融危機が金融機関だけではなく、実体経済まで波及しているとFRBが認識しているかが最大の未解決の問題だ。

 住宅部門は低迷がすでに深刻化しているが、それ以外のセクターでは低迷の兆候はまだ決定的なものではない。

 FRBが考える深刻な事態とは何か。

 モーゲージ市場と全般的なクレジット市場での危機が深刻化した先週終盤以降に発言した最初のFRB当局者は、セントルイス地区連銀のプール総裁だ。

 同総裁はプルームバーグTVとのインタビューで「大惨事(calamity)」が起きた場合のみ、緊急利下げは正当化されるが、「だれも電話をかけてきて、空が落ちてくるとは言っていない」と述べた。さらに「現在の市場の混乱で抜本的に経済のコースが変化していると判断するのは時期尚早だ」と述べ、FRBは措置を講じる前に現実的な証拠に依拠する必要があると付け加えた。

 ブラウン・ブラザーズ・ハリマン(ニューヨーク)の首席グローバル通貨ストラテジスト、マーク・チャンドラー氏は「その種の証拠を欠いているばかりか、過去1週間程度に発表された経済指標は、8月上旬の当初予想よりも国内経済がやや強いことを示唆する内容になっている」と指摘している。

 金利先物相場は、9月の連邦公開市場委員会(FOMC)でフェデラルファンド(FF)金利が0.25%ポイント引き下げられる確率を完全に織り込んでおり、0.5%ポイントの利下げの可能性も高い。さらに緊急利下げの見通しも強まっている。

 FRBは、毎年8回開催するFOMCで主に金利を変更する方針を決めた1994年以来、98年の10月、01年の1月、4月、9月の4回の緊急利下げを実施している。

 ゴールドマン・サックスのシニアエコノミスト、エド・マッケルビー氏はリサーチノートの中で「金融市場での深刻な危機は緊急利下げを助長する可能性があるものの、それが経済に与えるリスクが絶えず焦点になっている」と述べている。

 例えば、01年の1月3日に実施された緊急利下げは、米供給管理協会(ISM)製造業部門景気指数が分岐点となる50を大きく割り込み、43.7まで低下し、約10年ぶりの低水準となったことも一因となったようだ。

 さらに株価指数ではS&P総合500種が緊急利下げ実施の時点までの4カ月間に約15%下落しており、ナスダック総合指数も2000年3月の高値から大幅に下げていた。

 <次回FOMCはかなり先> 

 前出のマッケルビー氏によると、01年4月18日の緊急利下げは、直前の3月FOMCと次回の5月FOMCとの間が通常より長く、8週間空いてしまうことも背景にあるとみられている。同氏は「経済が失速している状況では、これは永遠に思える時間だ」と指摘する。

 その意味でいえば、前回の8月7日のFOMCから36時間後に世界のクレジット市場で内部崩壊が始まった。同FOMCではFF金利は5.25%で据え置かれた。据え置きは10回連続。

 次回FOMCが開催される9月18日はまだ先だ。

 先週のFOMC声明では、インフレが予想通り鈍化しないことが大きな懸念と指摘された。

 クレジット危機問題は別にして、7月の物価統計は恐らく、FRBの金利に対する決意を緩和せず強固にすると、FEDウォッチャーはみている。

 (ロイター日本語ニュース 原文執筆:Ros Krasny、翻訳:宮本 辰男) 

2007/08/17 15:43

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