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アジア株が全面安、楽観論修正で動揺長引く


 8月6日、週明けのアジアの株式市場は全面安に。楽観論修正で動揺が長引くとの見方も浮上。写真は中国・武漢の証券取引所で3日撮影(2007年 ロイター) [拡大]
 【東京 6日 ロイター】 週明けのアジアの株式市場は全面安の展開。前週末の米株急落を受けて朝方から各市場で株式を売り急ぐ動きがみられた。米国のサブプライムローン(信用度の低い借り手向け住宅ローン)問題の米国経済への影響は限定的との楽観論が修正されており、予想以上に金融市場の動揺が長引きかねないとの見方が出ている。

 <年度内に2回の米利下げを織り込む>

 「経済にまで影響が出始めたのか」──6日の金融市場では、前週末の米国の経済指標をみてこんな声が漏れてきた。3日に発表された7月の雇用統計とISMの非製造業景気指数がともに市場予想を下回る弱い結果になったからだ。サブプライムローン問題にもかかわらず、国内総生産(GDP)統計や好調な企業業績など、経済のファンダメンタルズはしっかりしていると受け止められていただけに、実体経済の弱さを支す指標には敏感に反応した。

 シカゴ商品取引所(CBOT)によると、3日時点でFF金利先物は年内の利下げを100%以上織り込み、08年3月までの2回の利下げもほぼ織り込まれている。

 大手の金融機関の間でも、米連邦準備理事会(FRB)の金融政策の見通しを修正する動きが出てきた。JPモルガン・チェース銀行は、次回の政策変更が利上げとの見方に変更はない、としながら、今年第4・四半期としていた利上げ開始時期が来年半ばまで後ずれするとの見通しに変更した。同行では「最近の指標が米国住宅市場の調整の長期化を示唆していることを勘案した」と説明している。また、ウォール街で強気派で見られるバークレイズ・キャピタルは、年内2回の利上げ見通しを撤回、来年初めからの利上げ再開に修正した。

 <米系筋が国内株に売り>

 弱気論に傾くウォール街の雰囲気はアジア市場にも広がった。東京市場では日経平均が一時300円を超える下げとなったほか、シンガポール、台湾、香港、ソウルなどが軒並み2─3%程度下げた。

 東京市場に関しては「米系の短期投資家からコア銘柄にまとまった売りが出た。大手銀行、証券などの金融セクターが売りのターゲットにされたことも市場のムードを悪化させた」(大手証券エクイティ部)との指摘が出ていた。市場のセンチメントは悪化する一方のようにみえ「リスク回避度の高まりから「恐怖心」によって株から資金を引き揚げる動きが出ている」(野村証券チーフストラテジスト、岩澤誠一郎氏)という。

 準大手証券情報担当者は「トヨタ自動車<7203.T>、三菱電機<6503.T>などの好業績銘柄が買われたものの、現物市場の動きは全般に鈍い。米サブプライム問題と為替動向の不透明感が払しょくできず、1万7000円に近づくと戻り売り圧力が強くなる」と話す。

 一方で「海外勢の売りは出ているようだが、日本株を見切って資金を逃がすような売りにはなっていない」(三菱UFJ証券、投資情報部部長代理、山岸永幸氏)との声も出ていた。

 <早朝にマクロ系ファンド動き円買戻しか>

 為替市場では、朝方、ドル/円が一時117.19円まで下落し、3月29日以来、4カ月ぶり円高水準をつけた。キャリートレード解消に伴うとみられる円買い戻しが進んでいる、との見方が多い。都銀の為替担当者は「早朝のドル売りは外銀のオーダーのようで、背後にはマクロ系のファンドがあるのでは」と話す。ある外銀筋は「悪い話が出ると、相変わらず(ドル売りに)飛びつく。リスク縮小の動きだ。米連邦公開市場委員会(FOMC)声明で利下げを意識するような内容になればドル売りで反応してくるだろう」とみる。

 その他の通貨をみても、高金利通貨の代表例のニュージーランドドルが軟化。対円では1円以上下落し、90円を割り込んでいる。

 <短期フロー中心の円債市場> 

 株価の大幅な下落を受け、円債市場では金利が急低下した。指標となる10年最長期国債利回り(長期金利)が1.730%と、5月31日以来ほぼ2カ月ぶりの水準に低下したほか、5年利付国債利回り、2年利付国債利回りがそれぞれ1.290%、0.955%とほぼ2カ月ぶりの水準になった。外資系証券の債券担当者は「ロスカットやショートカバー、新規のロングが投機的に入った」と話す。ただ、ロスカットなどは前週、あるいはその前にも入っていたこともあり、それほど量は膨らまなかった、という。また、最終投資家は様子見姿勢を崩しておらず、この水準から低下余地を探るのは難しいのではないか、とも指摘している。

 別の外銀の担当者は「債先は高寄り後は誰もついていけず、結局は寄りの水準をいったりきたりでぜんぜん動いてない。前引けにかけては小動きだったといっていい。株が下げ渋ったこともあり、利食いや戻り売りが出て、先物は伸び悩んだ。現物は10年売り、中期の買い戻し程度のフローだった」とみている。

 オーバーナイト・インデックス・スワップ(OIS)市場では、8月利上げの織り込み具合が前週末の50%半ばから、50%付近まで後退した。市場では「OIS金利はあくまで参考指標だが、織り込みが5割を割るかどうかで心理的な印象は違う。一時は50%を割り込んだが、このところは50─60%程度の織り込みで行ったり来たりしている。

市場の気迷いの状態の状態をよく表している」(外資系証券)との声が出ていた。8月利上げのシナリオに変化がなければ、10年債利回りで1.7%は積極的に買っていけない、との声が多いが、そのシナリオに懐疑的な見方も少しずつ出ている。

 ドイツ証券、チーフ債券ストラテジストの森田長太郎氏は「ISM指数、雇用統計という2つの重要指標が下振れを示し、サブプライム問題に関連した金融市場におけるリスク削減の動きに加えて、米経済成長の先行きのトレンドにも黄信号が灯った」と指摘。「日銀としても、金融面、実体経済面の双方において、米国発のリスクを認識せざるを得ない状況に入った」として、市場の8月利上げシナリオがもう一段後退するのかどうかに注目している。

2007/08/06 14:35

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