サービス案内メルマガ会社案内新聞購読書籍世日ショップ電子チラシプレスリリース旅倶楽部 Google Web サイト内
ホーム ワールドネット
ビジネスニュース
BACKを見る

流動性資金のマトは米欧株か、日本株に参院選リスク


 6月18日、米欧株に流動性資金の焦点が当たるとの見方が出ている一方、日本株には参院選での与党敗北リスクがあるとの声。写真は15日都内で撮影した株価ボード(2007年 ロイター/Kim Kyung-Hoon) [拡大]
 【東京 18日 ロイター】 週明け18日の東京市場で円安圧力が増すとの見通しが広がっている。金利差に再び注目が集まりつつあり、市場では円キャリートレードの活発化もささやかれ始めた。だが、グローバルにどの市場にマネーが流入するのか「テーマ不在」との声も浮上している。

 一部にはグルリと一巡して米、欧州の株に過剰流動性マネーの焦点が当たるのではないかとの見方が出ている。他方、円安でドル換算の株価が下がっている日本株には、円安が止まらないと手を出しにくいとの声や、参院選での与党敗北観測も日本株にはマイナスとの見方が出ている。

<福井総裁発言をきっかけに、外為市場で円安地合い強まる>

 18日の市場では円がジリジリと売られ、ドル/円は123円半ば、ユーロ/円が165円前半から半ば近くで推移している。市場では、15日の福井俊彦・日銀総裁の会見で利上げに一段と強気のコメントが出ず「7月利上げの可能性が急低下し、円が売られやすくなった」(邦銀関係者)との声が出ていた。

 また、個人投資家のドル買い/円売り、ユーロ買い/円売りなど対主要通貨での円売りの姿勢が鮮明で「利食いの円買い戻しのそぶりを見せない個人投資家の円売り一辺倒の取引パターンが、円安のテンポを結果として速めることになっている」(外資系証券関係者)との見方もあった。

 こうした円売り地合いに関連し、三井住友銀行・市場営業統括部・チーフエコノミストの山下えつ子氏は「日銀が8月ごろに利上げするというのが市場のコンセンサスのようだが、仮に8月に0.25%の利上げを実施しても、日米間や日欧間の絶対的金利差は大きく、円金利上昇の本格化が視野に入ってくるまでは、円安基調は続くだろう」と予想している。

 同時に商品や株のグローバルな価格下落を通じ、円高方向に向かう圧力の源泉となっていた世界的な金利上昇が足元で一服していることも「円高方向へのけん制の力が弱まって、円安に行きやすくしている要因になっている」と山下氏は指摘する。

 現在のような地合いが継続すれば、この1カ月間でさらに円安は進み、ドル/円で120円─128円、ユーロ/円で160円─170円のレンジを山下氏は想定している。

 <円キャリー拡大の思惑、不透明なマネーの流入先>

 こうした円安の進展は、円キャリー取引の拡大を伴うとの見方が市場で浮上している。「世界的な金利上昇の基調の中で、日本の金利の上がりにくさは、やはり注目に値する。資金調達の通貨としての魅力は全く下がっていない。キャリー取引は、今のままの環境が続くなら拡大し、世界に流動性を供給する構図が継続するだろう」(別の外資系証券関係者)との見通しが出ている。

 ただ、グローバルに特定のマーケットが注目されているわけではなさそうだ。海外勢の動向をウォッチしている信州大学経済学部教授の真壁昭夫氏は「ヘッジファンドなどは、足元でマネーをもてあまし気味のようだ。10年米国債り回りがいったん5.35%まで上がった際には、米国債購入を積極化させた向きが多かったようだ」と述べる。

 <世界経済の成長前提に、商品や米欧株に注目の声>

 真壁氏によると、一部のヘッジファンドはフィリピンやインドネシアなどの国債を物色しているが、この先は「再び米国と欧州の株にマネーを振り向ける可能性が高そうだ」と分析する。

 東海東京証券・チーフエコノミストの斎藤満氏は、別の理由で米株に焦点が当たるとみている。斎藤氏によると、足元でヘッジファンドなどは「テーマなし」と新たなネタ探しをしているが、一部のヘッジファンドは中国の外貨運用をする新機関が米ブラックストーン・グループ<BG>に30億ドル出資することに注目しているという。30億ドルの規模は大きくないものの「ブラックストーンが得意にするM&Aや米株のトレードが注目されやすいとの思惑が出ている」(斎藤氏)という構図ができつつある。

 これとは別に世界経済の拡大基調が確認されつつあり、その成長の中核である新興市場国の成長とリンクしている「原油などの資源を中心とした商品にマネーが回帰する公算が大きいのではないか」(第一生命経済研究所・主席エコノミスト、熊野英生氏)との予想も出ている。

 <円安進展でドルベースの下落リスクがある日本株> 

 だが、日本株に世界のマネーが流入するとの見方は少ない。財務省によると、今年1−5月に海外勢は日本株を5兆4154億円買い越しており「海外勢が日本株を買っていないわけではない。ただ、かつてのようにインデックスでドーンとは来ていない。国際競争力のある一部製造業などを買っている海外勢が多い」(真壁氏)という。

 海外勢が大挙して日本株を買ってこない理由として、円安の進展を挙げる声もある。冒頭の外資系証券の関係者は「円安が進んでいる間は、日々、ドル換算の日本株の価格は下がる。もともと新興国の株のように大きな上昇は望めない中で、円安が止まらないと機関投資家などは手が出せない」と指摘する。

 <参院選で与党劣勢の観測、株安・円安材料に>

 さらに追い討ちを掛けているのが、このところ強まっている参院選での与党敗北観測だ。国内の新聞や通信社は安倍晋三内閣の支持率低下を報道し、一部では30%割れとの数字を示している結果も出てきた。読売新聞朝刊など一部の新聞は13日、小泉純一郎内閣で政務秘書官を務めた飯島勲氏が12日に講演し、その中で「現状では、公明が11議席、自民が40議席前後で与党は過半数を10─13議席割れて大変な事態に陥る」と述べたことを伝えた。飯島氏は同時に「年金を含めて国民の理解を得る施策を発表すれば、過半数はいく」とも述べた。

 このような報道がある中で、海外勢の一部には「安倍首相は参院選後も大丈夫なのか」との声が出てきている。先の外資系証券の関係者によると、安倍首相のスタンスに一部の海外勢は不満を持っており、与党敗北が直ちに日本株売りにはつながらないと説明する。 しかし、真壁氏は「最近、複数の海外勢から聞いたところでは、選挙の結果に関心が高まっており、政局不安の通貨やその通貨建て資産は買わないとの意見だった」と述べる。熊野氏も「与党過半数割れなら、日本株売り/円売りになるだろう。債券はそのときの地合いを見ないと何とも言えない」と話す。

 ただ、中長期的には楽観的な声もある。斎藤氏は「円安が止まれば、日本株の割安感がクローズアップされるのではないか。秋から年末にかけてその時期が来る可能性もある」とみている。

 別の外資系証券の関係者は「秋以降、本格的なM&Aが出てくれば、日本株に注目が集まるきっかけにはなるだろう」と述べている。

2007/06/18 15:00

この記事を友達に教える

●的確な経済情勢分析で定評のある 日刊紙・世界日報、電子新聞の試読・購読はこちら

最新のビジネスニュース

  • 米ゴールドマン、自己勘定取引部門を閉鎖へ=報道 9/4 4:52
  • 中国、BHPビリトンの加ポタッシュ買収阻止目指す=関係筋 9/4 4:12
  • 8月米ISM非製造業総合指数が低下、雇用は再び50割れ 9/4 4:07
  • 欧州市場サマリー(3日) 9/4 3:57
  • ECB、金融市場改善するまで流動性供給策を維持=専務理事 9/4 3:55