インタビュー:テーオーシーへのTOB、さらなる情報開示必要=ダヴィンチ
【東京 31日 ロイター】 テーオーシー(TCO)<8841>に株式公開買付(TOB)を行っているダヴィンチ・アドバイザーズ<4314>の金子修社長は31日、ロイターとのインタビューで、買い付け価格(1株1100円)を引き上げる可能性について、「上げるか否か、それは分からない」と語り、さらなる情報開示がなければ現状では決められないとの考えを示した。
ただ、TOCの物件価値は借入金を除くネットベースで2000億─2500億円あると指摘。修繕積み立ての状態などを調べたうえで「価値があると思えば上げてもいい」とした。
インタビューの主な内容は以下のとおり。
──これまでの流れをどう思うか。
「ある程度思った通りというのと、一方でまだ日本はここまでかという失望感もある。TOCの取締役がいったんは1株800円で会社売却に賛同するとなったので、我々の高い方のオファー(1100円)に(既存株主がTOC株を)売却した方がいいのではないかと思い、提案した。会社の経営者は、高い価格を提示してきた方に売る善管注意義務がある。しかし今回、日本では全くその社会通念がないと分かった。報道関係者も、ほとんどそれに気付いていないことに驚いた」
──TOB価格は1株1100円以上にしないのか。
「上げるか否か、それは分からない。情報がないと。我々はTOCの持っている物件に2300─2800億円の価値があるとみている。借入れ金が300億円なのでネットでは2000─2500億円の価値ということだ。発行株式総数で割れば1株あたりの価値は出てくる。これ以外に、修繕積み立てやCAPEX(設備や不動産価値を高めることを目的とした支出)などについてもっと調べ、価値があると思えば上げてもいい。しかし、いまは全くブロックされている。一番いいのは(TOCが)情報開示をしてくれることだ」
──何がベストシナリオだと思うか。
「TOCの経営陣は、1株800円で会社を売ることに賛同していた。そこに我々が1100円を提示したのだから、答は2つしかない。1つは我々の1100円に賛同すること。もう1つはもっと高いのはないか、入札にしようではないかと検討すること。これが当たり前の答だろうと思っていた。ところが高いオファーは全く無視。そこに隠れているのは、取締役が善管注意義務違反に怖がっていないということだ」
──なぜか。
「株主は訴訟しないだろうという前提に立っているからだろう。善管注意義務違反というのは刑罰ではないので、誰も罰することはできない。それによって損害が生じたことには訴えを起こすことができるが、それが全く効いていない」
──株価は1100円を上回って推移している。なぜだと思うか。
「それはもっといい(価格の)提示があると思っているからだろう。普通はビット状態にならないとおかしい」
──仮にTOB成立しなかったら、再トライするか。
「まず、失敗に終わらないと思う。TOCの企業価値を、全員が分かり始めたからだ。もし失敗したら、現経営陣はかなり大変なプレッシャーに合うだろう。いま1100円で実施しているTOBを見逃してしまったら、なぜ反対したのか、なぜ(ダヴィンチに)売らなかったのかと訴訟に発展する可能性があるのではないか」
「私は他の株主に期待している。だからTOBした。成立は微妙だろう。TOC(大谷家)サイドが31%持っているので。それでもやはり賛同は得られると思っている」
──成立したら、TOCでなにがしたいのか。
「我々の計画でいけば、TOCのROE(株主資本利益率)は3年後に3.9%から8.5%に、EPS(1株利益)は2.5倍になることが予想できる」
「私は不動産会社の経営はやりたくない。企業価値を上げて(ダヴィンチの)持ち分の価値を上げたいだけだ。株を買っているのだから、株主としてのお願いは企業価値、株価を上げて欲しいということ。資産を有効に活用すれば企業価値はあがる。(過半数取得なら経営権を取ることになるが私は)経営はやりたくない。企業価値を上げるという真摯(しんし)な思いがあれば(経営はTOCに)やってほしいと思っている」
──不動産だけでなく、有価証券投資を加速しているのはなぜか。
「株が安いからだ。株が安いのに物件の価値はどんどん上がっている。TOCも物件価値が上がり、この3年でおそらく倍にはなっているのではないか。しかし、株価は下がっている。それは経営陣が物件の価値を最大化しないからだ。私は物件が欲しくてやっているのではない。投資家なのでリターンが欲しいだけだ」
──いま走っているファンドは「アルガーブ」「プラト」の2本か。
「それはパッシブの運用ファンドで、いま別のアクティブのファンドを作ろうと思っている。規模は現段階では言えないが、世界中の投資家から、どうしようと思うくらいおカネが来る勢いだ。日本でもあと5年程度すれば(カーライルやKKRのような)アクティブ運用がもっと盛んになっているのではないか」
──すでに投資した企業に対し、TOCに行ったような提案をすることも考えられるか。
「そういうのがあるかもしれない。株主としての防衛策として、やることもあるだろう。経営陣が思わぬことをして株価を下げてしまう前に、防衛しなければならない。今回のMBOもそういうことだ」
2007/05/31 15:52