マスコミ論評
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【週刊誌】

ついに同業者批判記事を載せ始めた週刊誌だが、「AERA」斎藤氏の“才女ぶり”には脱帽

◆悪習破った在野精神

 明治時代はともかく、わが国には長い間、「新聞は新聞を批判せず」という悪習があった。「社説」はもとより、社員や販売店員のかかわる不祥事まで、「武士は相身互い」とばかり、氏名はおろか、事件そのものまで報じないのが常であったと言っていい。

 そんな悪習を破ったのは、一つは、「言論の自由」とか「国民の知る権利」などうたっていながら、自分は何だ、という国民の声であり、二つ目は、新聞社自体の政治的スタンスが二分したこと。そして最後に、出版社系週刊誌の何ものにも物おじしない在野精神のせいであったのではないか。

 が、権力は腐敗するという原則どおり、週刊誌も権力を得ると、やはり、共存共栄、「武士は相身互い」の論理が働いて、週刊誌が週刊誌を批判すること、少なくなった。

 ところが、ここに来て、にわかに、同業者を批判する週刊誌が現れだした。

 例の「噂の真相」七月号の「週刊誌記者匿名座談会」によると、不況のせいで各誌とも部数が減り、「『週刊ポスト』が前期より5万部減の74万6千部、『週刊現代』が4万部減の72万3千部、『週刊文春』が3万部減の61万5千部、『週刊新潮』が1万部減の51万1千部、『サンデー毎日』が4万部減の12万7千部と、軒並み大幅に部数を落とし、わずかに、33万1千部の『週刊朝日』と35万部の『週刊大衆』だけが横ばい」とあるから、こうなると、他誌をけ落としてでも部数を増やさねばということになったのかもしれない。

 最初に口火を切ったのが、台所事情が一番苦しいと噂された「サンデー毎日」。大宮あずさというライターを登用し、「辛々Last week」と題して、新聞、週刊誌、月刊誌を問わず、当たるを幸いなぎ倒させている。

 試みに、同誌6・22日号、六月五日(月)の「週刊ポスト」の部分をご覧いただくことにしよう。

 「モノクログラビアに竹下亘、小渕優子、後藤田正純、梶山弘志ら16人の顔写真を並べ、『総選挙“世襲候補”一覧』とうたう」

 「立候補予定者約1200人中、世襲が200人近くいると書いといて、これで『一覧』は羊頭狗肉でしょ。とはいえ、この人たちと森喜朗1世のうち誰かがこけるようだと日本も捨てたもんじゃない、という気にはさせる」

 私は、舌鋒はなはだ鋭いこの御仁がどういう方か、全く存じ上げないが、以前、同欄で、夕刊紙だったかスポーツ紙だったかの見出しが五・七・五の短詩型になっているのが多いことを取り上げ、俳句にしては季が云々と書いておられたことを覚えている。同じ五・七・五ながら、わが国には、必ずしも季題を必要としない川柳という短詩のあることをご存じなかったところからみると、ひょっとして、帰国子女か。

◆男性誌が“餌食”に

 次いで仲間批判を始めたのは、朝日新聞社から出ている週刊「AERA」。

 もっとも、斎藤美奈子という評論家の手になるこの連載は、「週刊ポスト」を取り上げた第一回のリードに「ようわからん男性誌の世界/秘境を探索しましょう」とあることからわかるように、週刊誌だけが標的ではなく、男性月刊誌もまた順番にえじきになるものと覚悟しておいた方がいい。現に、同誌の6・21日号では、「MEN S CLUB」がやり玉に挙がっている.

 話は戻るが、斎藤美奈子さんは、「なんたって売れ行きナンバーワンと噂される」男性週刊誌として取り上げたポストを、「7つの顔を持つ雑誌である」といい、次のように分析しておいでになる。

 (1)飛行機会社の機内誌リストから外されるヘアヌード掲載誌(2)「過激な性表現」が新聞社の広告コードに引っかかり、表現を変えさせられるエッチ記事掲載誌(3)意外にも、男に厳しいセクハラ告発雑誌(4)週刊誌らしく政治経済ネタに目配りするのはもとより(5)大相撲の八百長や首相の金脈をスッパ抜くような社会派であると同時に(6)週刊誌界きってのマイホームパパであり、同時に(7)ホワイトカラーの大卒サラリーマンを意識したインテリ雑誌でもある――と。

 「週刊ポスト」を取り上げた四回にわたる連載を、彼女は、「<大蔵官僚はノーパンしゃぶしゃぶで、IT長者はナマ乳料亭というわけか>とか呆れている場合じゃないでしょ。ノーパンしゃぶしゃぶ、ナマ乳料亭は『週刊ポスト』、あなたのことだよ」の一句で締めておられる。

 以前本欄で、「ダカーポ」の「週刊誌目次頻度表」から、わが国の男性は、ことごとくカネとイロとにトチ狂っているかの如くであると書いた覚えがあるが、それにしても、大変な才女が出現されたものである。世は再び、平安の昔に返ったのか……。

◆宝石廃刊説も道理

 ところで、前掲「噂の真相」誌の座談会で、「毎号1千万近い赤字で、光文社の上層部は廃刊を決めており、新編集長はその幕引きのために就任したという見方すら流れている」と噂された「週刊宝石」が、十四日発売された創刊900号記念の6・19、7・6日合併号で、何を思ったのか、「陸海空合同4千人!/東京・銀座に装甲車が……/2000年9月3日/石原都知事が“治安出動”大演習!?」と題する記事を掲げている。

 都労連関係者から手渡された資料をもとにした予想記事だそうで、ジャーナリストの井上澄夫氏が、こんな裏付けをしておいでになる。

 「今回の訓練の中核となる練馬駐屯地の主任務は首都圏の治安の維持にあります。そもそも石原知事が『三国人』を持ち出して治安出動の必要性を説いたのは練馬駐屯地だったんですからね。これはけっして偶然ではありません」

 が、奇妙なことに、「週刊宝石」はこの号で、「ついに警官に発砲も! 暴走する『不法滞在中国人犯罪』に打つ手はあるのか?」という記事も載せている。

 一方で防災訓練を治安出動訓練と非難し、他方、これでは、この雑誌が読者を失うのも道理、ということか。

(土田 隆)


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