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韓 国 南北首脳会談の報道事情 与えられた事実で分析
南北首脳会談が六月十二日から三日間、平壌で開催される。南北分断以来、初めての出来事なので、現場に行ってみたいのは人(記者)の常だが、南北間の取り決めで、外国人記者の韓国代表団同行取材は実現しなかった。南北間の(インターコーリアン)首脳会談なので、外国人記者の同行取材は認められないと、北朝鮮側が主張したようだ。 板門店の南側と北側で交互に行われた首脳会談の準備協議でも、北側の統一閣で開催される時は外国人記者の取材は拒否された。この場合は、北朝鮮側から南側に越境して取材する外国人記者がいないので、“相互主義の原則”によって韓国側の外国人記者の越境取材も認められない、という理由からだ。
金日成主席の急死で流れた九四年の南北首脳会談の際も、外国人記者の同行枠はなかった。また、首脳会談の実務手続き合意が難航した大きな原因の一つも、韓国の同行記者団の人数をめぐる確執だったので、外国人記者の排除は、予想された結果だとも言える。
それでも現場で取材したければ、個別的に北朝鮮と交渉してほしいということだ。ただ、平壌に行って、北朝鮮側が韓国の同行記者たちと同じように取材の便宜を図ってくれるかどうか分からないので、リスクの伴う取材になる。へたをして、情報の豊富な韓国記者団と隔離されてしまったり、通信の便が悪かったりすると、“歴史的な”南北首脳会談が開催された平壌市内を見学するだけで終わってしまう恐れもある。
そんなこんなで、韓国政府がソウル市内のホテルに設置するプレスセンターが大変な人気だという。二日現在の利用申請した海外マスコミが百四十二社、総計三百九十五人。国内の五百五十五人と合わせて、総計九百五十人になる取材陣はソウル五輪に次ぐ、史上二番目の規模だとか。海外マスコミの利用申請はまだ続いているので、いざ本番というころには、千人を超える大盛況になると予想されている。
プレスセンターとは言っても、平壌の韓国共同取材班から送られてくる映像や写真、記事をもらったり、韓国政府関係者のブリーフィングを聞くなどの「間接取材」しかできない。もちろん、首脳会談の進行が最優先なので、首脳会談の障害になるような内容は最初からカットされてくる可能性が高い。
準備協議の時も、ある夕刊紙が初版の紙面で、共同取材班の記事内容を引っ張って、北朝鮮が首脳出会い(対面)と最高位級会談(首脳会談)の「分離を示唆」と報じたため、政府との間でひともんちゃく起こり、次の版から見出しや記事が穏当な表現に変わったことがあった。
南北政府が報道問題に神経をすり減らすのは、社会主義の北朝鮮と自由民主主義の韓国とではメディアの位置付けが異なるためだ。北朝鮮では「党に奉仕する宣伝扇動手段」だが、韓国では、日本よりは政府の牽制が強いものの、基本的には自由言論が生命視されている。
そのため、韓国としては、北側マスコミに安易に対応すると北朝鮮の体制宣伝に利用される恐れがあり、自国のマスコミが先走りすると北朝鮮が「中傷報道」などと猛烈に批判して母屋(首脳会談)が崩れる恐れもある。北朝鮮としても、党や国家を批判するような報道内容は、とうてい容認できないわけだ。
そんなわけで、南北首脳会談の報道は与えられた事実をどう評価・分析するか、という方面で、特色を出さざるを得なくなる。
(ソウル・武田滋樹)
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