フランスの狩猟文化

 ブルターニュ地方の東の端、ルジェという小さな村に住むロジェ叔父さんは、義父の弟だ。8月末に兄が亡くなったので、大好きな狩猟に今年は行くかどうか迷っているそうだ。

 なぜなら、80歳を過ぎた兄弟は、釣りも狩猟もいつも一緒だったからだ。

 この季節、フランスの食材店には、ジビエが吊される。ジビエとは、食材として捕獲された野生の鳥獣類で、フランス料理には欠かせない存在だ。

 鳥類では真鴨やアヒル、キジ、そしてライチョウ、獣類の代表格は野ウサギで、その他、イノシシ、シカなどが羽や毛がついた状態で肉屋の店頭に吊される。  ジビエの旬は秋で、冬に備えて体に栄養を蓄える野生の鳥獣たちは、美味で食するに適している。

 ロジェ叔父さんは、これまでジビエを買う必要はなかった。なぜなら、兄と2人で毎週のように狩猟に行っていたからだ。

 無論、来客があり、手元にジビエがない時は、庭の隅で飼っているウサギが食卓にのぼる。飼育してから一定期間野放しにした獣類は、ドゥミ・ソバージュ(半野生)と呼び、ジビエとは区別されいる。

 秋の食材を見ると、やはり、フランスが狩猟文化を持つ国であることが、はっきりと分かる。