文化遺産に登録された仏料理

 国連教育科学文化機関のユネスコが、松浦前事務局長時代に採択した無形文化遺産に、高級フランス料理が登録された。同時にメキシコ伝統料理やクロアチア北部の菓子も登録されたらしい。これで日本料理も無形文化遺産に登録される可能性がありそうだ。

 日本では、既に能楽や歌舞伎が登録されているが、日本料理も今やフランス料理と並び、洗練された高級料理として日本文化が生み出した卓越した完成度を持つ一流料理とされている。今回はスペインのフラメンコや中国の京劇も無形文化遺産として登録されたらしいが、中国共産党を讃美するだけの京劇では困る。

 イタリアの流れを汲む宮廷料理をルーツとする高級フランス料理は、オート・キュイジーヌと呼ばれ、他の地方料理と一線を画す。思い出すのは、フランス料理界の頂点に立つアラン・デュカスが理事長を務める料理学校の学位授与式に授与する側として参加したことだ。日本のジャーナリストが伝統ある学位の授与で証書を卒業生に手渡した。

 世界中から集まったシェフの卵たちからは、アントレ(前菜)が振る舞われた。その中にウサギを丸焼きにした料理があり、それを写真に撮って日本の地方新聞に送ったら、「残酷だから掲載できない」と言われ、文化の違いを痛感した。当時、同席した元駐米仏大使館専属シェフのミッシェルと日本料理をめぐる議論に花を咲かせたことを思い出す。