街全体が映画の撮影セット

 パリはこれまで、何度、映画の舞台として使われてきたか想像できないほどだ。友人だった映画評論家の故田山力哉氏が数えただけで、100作品をはるかに超えているらしい。今回、アメリカの映画監督ウッディ・アレンが撮影に入っている。カーラ・ブルーニ・サルコジ大統領夫人が出演していることで話題をまいている。

 パリをこよなく愛するウッディ・アレン監督だが、今回の出演者は元トップモデルで今はフランスのファーストレディを起用したことで、撮影もセキュリティ対策で大変だそうだ。今年のパリは、同じアメリカのマーティン・スコルセッシ監督もパリでの撮影を予定し、歌手のマドンナも映画をパリで撮るそうだ。

 パリ市としては、これも宣伝の一環になるため、非常に協力的だ。おかげで、撮影で道が通行止めになったり、レストランが貸し切りになったりと不便なことも多い。だが、あの映画「ダヴィンチ・コード」のおかげで、ルーブル美術館の入場者数が急増したこともあり、少々の不便は仕方がないのだろう。

 パリは街全体が映画の撮影セットのように、どこをとっても絵になる。それはけっして華やかで派手な町の外見だけでなく、大革命や第2次世界大戦のパリ解放時には多くの血が流され、人びとの苦悩や悲しみも街にしみ込んでいることで深みを持っている。パリを舞台にした映画には、そのため歴史的名画も多い。