中国人実業家の悩み

 ブルターニュ地方レンヌ市郊外に住む中国人のリーさんは、バッグの製造販売で成功し、実業家として活躍している。彼は最近、彼の母親と、中国政府に呼ばれて中国に行っていたが、「もう2度と中国には戻らない」と言って帰ってきた。

 リーさんの両親は、中国屈指の金持ちで、上海の近くに広大な土地を所有していた。それが、文化大革命ですべて奪われ、命からがらフランスに亡命した。リーさんが3歳の時だった。だから、リーさんは、中国語は喋れるが、中国の記憶がない。フランスで教育を受け、フランスの実業家として生きてきた。

 リーさんの母親が帰国した理由は、中国政府が、リー家が所有していた土地の半分を返還する代わりに、中国でビジネスをしないかという誘いだった。接見した役人は「愛国心があるなら、中国の発展のために貢献してほしい」というものだった。「海外で成功した同胞を呼び込もうとのもくろみのようだ」とリーさんは言う。

 ところが、その役人に過去への謝罪の言葉はなく、むしろ、有り難い誘いと言わんばかりだったという。リーさんはこれまでも中国人とビジネスをして何度も騙された経験があり、今回の申し出は断った。ただ、心は揺れているそうだ。というのもフランスでも、急増し力をつけている中国人への風当たりが強くなっているからだという。