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新年経済社説で楽観論が目立った日経、「試練」と慎重姿勢の産経・読売


◆新味乏しかった日経

 東京証券取引所4日の大発会は、日経平均株価が452円安と大幅に続落し、2万円の大台を割り込む3年ぶりの下落スタートとなった。新年の日本経済に波乱の展開を予想させるが、どうなるか。

 各紙の新年経済社説の見出しを並べると、次の通り。日経1日付「不確実性にたじろがず改革進めよ」、読売3日付「成長力高め安定軌道に乗せよ/消費増税の円滑な実施が重要だ」、朝日4日付「日本経済のこれから/目指す社会像の再確認を」、産経7日付「変化を成長の糧にせよ/国民が実感する景気回復を」(本紙は6日付「難題に立ち向かう試練の年」)――

 各紙とも通常2本枠の欄に1本でまとめた大社説だったが、最も楽観的だったのは日経である。同紙は日本の現在の景気が今月に、戦後最長の74カ月の拡大を記録することを述べ、さらに「企業は好業績を謳歌し、停滞していた雇用者所得も増え始めた」と指摘。10月の消費税率の10%への引き上げについては、「19年度予算で手厚すぎるほどの対策を講じており、消費腰折れのリスクは小さい」という感じである。

 企業に対しては、時代を変えるようなイノベーションを主導できないことが課題であるとして、コストダウンだけで利益を確保する「縮小均衡」の経営を脱する必要があると指摘。潤沢な内部留保を生かし、超高齢化社会で必要とされる医療・介護の技術や環境技術などで世界をリードしてほしいと強調する。

 最後は見出しの通り、世界はめまぐるしい変化の渦中にあるが、政府も企業も改革に全力を尽くすよう求めた、いつもの同紙の主張である。

 同紙らしいと言えば、その通りだが、新味に乏しく、やや抽象論に過ぎたきらいがある。朝日の「目指す社会像…」はさらに抽象論が多く、具体論に乏しかった。

◆読・産は現実論展開

 これらに比べ、現実論を展開したのは読売、産経である。

 読売は冒頭、「足踏み状態の景気を再加速して、安定成長の軌道に乗せることが出来るか。内外に課題を抱える中、今年の日本経済は、正念場を迎えよう」と述べ、日本経済が抱える課題を直視する。

 その課題とは、30年前には4%を超えていた潜在成長率が、1%前後の低空飛行が5年間も続いている「経済の推進力の頼りなさ」である。

 これにどう取り組むか。教科書的には、同紙が指摘するように、「規制緩和や成長戦略を通じて新産業を育成し、生産性を高める。政府は、民間主導による経済の底上げを図らねばならない」ということになるが、これはこれまでもたびたび語られてきたことであり、それだけ容易ではないということでもある。

 具体的には「企業が将来を見据え、設備投資を積極化させることも重要」(読売)であり、「特に大企業が、利益を海外投資だけでなく、国内投資の拡大につなげることがカギになる」(同)。また景気拡大を国民が実感するには、個人消費を盛り上げる「高水準の賃上げの継続が欠かせない」(同)わけである。その点で、読売が心配するのは、海外経済が減速傾向を強めている点であり、同感である。

◆消費増税の影響深刻

 10月の消費税増税について、同紙は「社会保障費の増大で、将来的には消費税率のさらなる引き上げが避けられまい」というスタンス。そのために同紙は、国民の痛税感を和らげるには、軽減税率の定着が不可欠といえ、制度を円滑に導入することが肝要としたが、もっともである。

 産経は消費税増税をより深刻に、今年の日本経済にとり「大きな試練」と位置付けた。

 政府は前回の増税時に消費が大きく落ち込んだ反省から、今回は中小店で買い物をした場合、クレジットカードなどでキャッシュレス決済すれば、ポイント還元することを計画したが、産経はこれを「増税対策に加え、他の先進国に比べて遅れているキャッシュレス決済の普及をにらんだ取り組みでもある」と評価した。

 同紙は、今年の世界経済は、米中貿易摩擦の激化などの影響もあって、「見通しは明るくない。だが、そうした時代の変化に向き合い、適応することが今の企業や個人に求められる姿勢だろう。それは大きな変革期を迎えた日本が常に得意としてきたことでもある。新たな技術を積極的に取り入れ、次の成長の糧にしたい」としたが、同感であり、新年にふさわしいエールである。

(床井明男)