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海外への影響判断避ける、虚報問題などで朝日社長会見


一連の検証作業にピリオド

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記者会見で信頼回復への行動計画を発表する朝日新聞社の渡辺雅隆社長=5日午後、東京・築地

 慰安婦問題や東京電力福島第1原発事故の「吉田調書」をめぐる一部記事取り消しなどを受け、朝日新聞社の渡辺雅隆社長は5日、都内で記者会見した。渡辺社長は、編集部門から独立し、報道内容を点検する「パブリックエディター」制度の新設など信頼回復のための行動計画を発表。昨年8月に慰安婦報道の一部記事取り消しと検証記事を掲載した後、第三者委員会の設置、報告などと続いた一連の検証作業にピリオドを打つ考えを示した。慰安婦虚報記事の海外への影響については自社の判断・評価を最後まで明確にしなかった。

 同社によると、パブリックエディターは社内外の数人で構成し、今春発足させる。社外から寄せられた声を一元的に集めて日々の紙面を点検。必要に応じて担当部署に事情を聴き、説明や訂正を求める。渡辺社長は「私が先頭に立ち、具体策を着実に実行する」と述べた。

 また訂正記事をまとめたコーナーや、朝日新聞に対する異論を含む多様な主張を掲載する「フォーラム面」(仮称)も新設。社員の意識改革を進めるため、販売店での研修などを通じて読者の声を聞く機会を増やし、改革の進み具合は紙面で明らかにするとした。

 一方、朝日新聞社の慰安婦報道を検証した第三者委員会の報告書の提言について渡辺社長は「真摯(しんし)に受け止め着実に実施していく」という表現にとどめた。同報告書の中で朝日新聞の1980年代における吉田証言に関する報道の状況について、いくつかの未検証部分が指摘されたが、渡辺社長は「私どものほうで何かをするということは考えていない」と述べた。

 また同報告書で岡本行夫委員(外交評論家)が「記事に『角度』をつけ過ぎるな」と指摘したことについて、渡辺社長は「ファクトと論評が入り混じる書き方については、誤解のないようしていきたい」と述べた。その上で「今後も角度を付けた報道はしていくのか」の質問に「自分たちの主義主張に合うように誘導するような記事の作り方は避けるべき」としたが、「森羅万象から何かを取り上げること自体、ある種の判断が入っているのだから、全部やらないということではない。『角度を付ける』という言葉が独り歩きしていることに当惑している」と答えた。