米国・ニューヨーク在住
内藤 毅
子どもが憂鬱な夏休み
米国の公立学校では、日本よりかなり早い、六月中旬から夏休みが始まり、新学期がスタートするのは九月から。「二カ月半の夏休み」と聞くと、日本ではさぞ、うらやましくみえるかもしれないが、こちらの子どもたちには、長すぎる休暇は苦痛とも受け止められている。
まず、夏休みが始まった二、三週間は喜びで満ちている。地方の教育委員会が企画したサマーキャンプや、キリスト教会主催のサマースクールもある。七月四日の独立記念日は共働きの両親も連休を取り、家族そろっての旅行や記念行事への参加など、楽しいことが目白押しだ。
しかし、キャンプなどの企画は夏休みの前半でほぼ終了してしまう。仕事が忙しい親がそうそう家族サービスを行うわけにもいかない。ベビーシッターと顔を突き合わせ、子どもは家で無為に時間を過ごすばかり。教育熱心な親になると、家庭教師を呼び、新学年に向けての復習・予習に余念がないが、これにしても、遊びたいさかりの子どもたちにとっては退屈そのものだろう。
外に遊びに出かけようにも、ニューヨークやニュージャージーでは、十三歳以下の児童が一人歩きすることも禁じられている。保護者なしで、子どもたちが通りで遊んでいるようならば、口うるさい隣人が警察に通報しかねない。一昔前とは違い、米国でも日本同様、小中学生が遊びほうける夏休みは「絶滅」している。
(サンデー掲載:7月24日)