フィリピン・マニラ在住
福島純一
前大統領時代の切符蘇る
フィリピンの政治家は芸能人並みに目立つことを好む。元ニュースキャスターのデカストロ副大統領や元映画俳優のエストラダ前大統領など、この国では顔が知られていることが政治家になる必須条件である。
街中には選挙期間でもないのに政治家の看板が乱立。公園が整備されれば市長の偉業を誇示する横断幕が掲げられ、道路が開通すれば大統領の看板も一緒に立ち、首都圏を走る軽量高架鉄道の電子切符にまで大統領の顔が印刷されるなどアピールは徹底している。
不正選挙が疑われるアロヨ大統領の辞任をめぐり国内世論が真っ二つに分かれる中、エストラダ前大統領の顔が印刷された電子切符が出回る珍事が発生した。高架鉄道庁が大統領に反旗を翻したとのうわさが駆け巡ったが、関係者は政治的な意味はなく、予算不足でアロヨ大統領の切符を増刷できず、大量に余っていた前大統領の切符を使わざるを得なかったと釈明した。
高架鉄道庁はかねてから電気料金の引き上げを理由に運賃引き上げを訴えていたが、国内情勢を考慮したアロヨ大統領によって凍結され、厳しい財政状態に陥っていた。
出回った前大統領の顔入り切符は運輸省がすべて回収、残っている二百万枚に関しては顔の部分を塗りつぶすなどして再使用するという。切符にまで波及した政権争いだが収束の兆しはまだ見えない。
(サンデー掲載:7月24日)