ロシア・ハバロフスク
吉田碩俊
出稼ぎ者と北朝鮮の国情
極東ハバロフスクでは、「謎の国」北朝鮮の一面を垣間見ることができる。それは出稼ぎに来ている労働者を通してだ。うわさには聞いていたが、彼らは本当に胸に赤い金日成バッジを誇らしげに着けている。
彼らの給料がいくらくらいなのか関心のあるところだ。建設現場でアルバイトをしているロシア人の友人の時給は二十ルーブル(約八十円)だが、彼によると、それは北朝鮮の労働者にとって母国の時給の倍になるという。まさか、日本で時給四十円で労働力を提供しようとする人はいないだろう。それでもこうして外国で働くことのできる彼らは、母国ではエリートの部類に入るのだそうだ。
ある時、ハバロフスクの空港のロビーで東洋人の集団を見かけたことがあった。彼らが北朝鮮人であると分かるまで時間はほとんどかからなかった。顔の色はみな浅黒く、無表情。背は低く、太めの体型の人は皆無。一様に暗めの色のスーツを着ており、その醸しだす独特の雰囲気は少し異様だった。
モスクワに向かう飛行機の機内では、また別の北朝鮮人を見かけた。今度は、何かのスポーツの国家代表団のような感じで、引率者と選手らしき若者が二人。引率者は体格もよく、粋なスーツに身を包んでおり、もちろん胸には例の赤いバッジ。選手たちは着ている専用ジャンパーにはナイキのロゴマークが入っていた。彼らの姿を見て、なぜか安心感を覚えた次第である。
(サンデー掲載:6月26日)