南ア共和国・ヨハネスブルク在住
長野康彦
首都の名称「ツワネ」に
南アフリカ共和国の首都プレトリアの名称が変わることになった。新名は「ツワネ」。なんでもその昔、現プレトリア地域に住んでいた黒人部族の首長の名前で、多くの黒人系国民の間ではよく知られているのだそうだ。
プレトリアも、実は人の名前から来ている。オランダ系白人の間で英雄とされている「アンドリース・プレトリウス」にちなんで名付けられたものだ。
今回の首都名称変更では、白人反対、黒人賛成と世論はくっきりと分かれた。私のような外部から来た者からすれば、そんなことにエネルギーと税金を費やすより、もっと優先してやるべきことがあるじゃないか、と思ってしまうが、当事者には、きっと重要な問題なのだろう。
南アフリカでは、地域や都市、道路などの名称変更がしょっちゅう行われている。同国北部のノーザンプロビンス州は数年前、リンポポ州に改名され、州都ピータースブルグはポロワクネという名に変わった。私の住む地域を通る白人の名を冠した幹線道路も、いつの間にかアパルトヘイト撤廃に貢献した人物の名前に変わってしまった。
民主化から十年が過ぎ、政府にも余力が出てきて、前白人政権時代の遺物は破棄してしまおうということか。慣れ親しんだ名前がなくなるのは寂しい。しかしそれも、この国の歴史において、必然的な流れなのかも知れない。
(サンデー掲載:6月12日)