南ア共和国・ヨハネスブルク在住
長野康彦
格別に美しい冬の夜空
最近の全国の天気予報を見れば、最低気温一けたの地域が徐々に増え、ある地域では零度にまで冷え込んできた。南アフリカは夏から冬と、冬から夏の、その間の季節がやけに短い。突然に寒さや暑さがやってくるような感じだ。
ヨハネスブルクから車を郊外に走らせれば、たちまち建物の数は減り、やがて道路両側には明かりもない自然の大地が果てしなく広がる。夜ともなれば、あたりは漆黒の暗闇。ヘッドライトを消せば方角すら分からなくなる。
やがて目が慣れてくると、空には都会で見る数の何倍もの星たちが輝いていることに気づく。全天空三六〇度を埋め尽くす光景は圧巻だ。
冬の夜、澄んだ空気の中で、見上げる星空は格別に美しい。一方で、月夜の晩も、それはそれで乙なもの。餅つきうさぎに月見だんご、そのそばにはススキがあって…などと想像を巡らすと、アフリカにいることを一瞬、忘れてしまう。月の光は、草むらで息を潜め獲物を狙う動物たちにも大切な天然のライトだ。
四月、環境保護への取り組みが際だっているとして、国連環境計画(UNEP)から南アフリカがアフリカ地域における最優秀国に選ばれたというニュースを耳にした。
エイズや凶悪犯罪など国内には殺伐とした話題が多いが、美しい自然だけは後世にいつまでも残してほしい。そう思った。
(サンデー掲載:5月1・8日)