エジプト・カイロ在住
鈴木眞吉
エジプトに民主化の波
寒さが続き、また雨の多かった今年のカイロに、やっと春の兆しが見え始めた今日このごろ、政治的にも春が訪れようとしている。
ムバラク・エジプト大統領は二月二十六日、大統領選挙に関する憲法第七六条の改正案を議会に提出した。これまでの大統領選出は、人民議会から三分の二以上の支持を得た人物のみが候補者となり、国民投票で信任を受けていた。提案ではいかなる政党も候補者を擁立でき、国民が直接、大統領選の投票を行うことができるというもので、画期的な内容だ。
大統領選や議会選で、投票率が公表できないほど低かったのは、国民が選挙に不信感を持ち、無言の抵抗をしてきたためで、直接選挙は国民の関心を呼び起こし、健全な国家造りに貢献するものとみられる。
この背景には、国内からの民主化要求もさることながら、米国をはじめとした国際社会からの中東諸国民主化要求や、アフガニスタンやイラクの民主化の進展に危機感を募らせた側面もありそうだ。
アラブ諸国は、王政や独裁制の諸国がほとんどで、反イスラムと反政府活動は弾圧を受け、秘密警察により容赦なく牢獄に入れられ、イスラム教過激派の温床ともなってきた。自由で開かれた情報の下で、教育を受け、自己責任で決定し、指導者を自ら選出する民主主義国家の国民として、解放感のある人生の出発を期待したい。
(サンデー掲載:3月6日)