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中国・香港在住
下根 森

配達もする89歳の社長

 知り合いに今年八月で九十歳を迎える年配の方がいる。会社の同僚は皆他界し、一人で会社を経営し、配達も自分でする仕事好きの人だ。日本からカメラのアクセサリーを輸入している。四十年前に契約を結び、日本の会社もその方の会社以外とは取引をしないそうだ。

 母が中国人、父はインド人ビジネスマン(イスラム教徒)で十五人兄弟の末っ子(香港生まれ)。独身。十八歳から働き始め、最初の仕事は「卵とアヒルの販売」。兄姉は皆他界し、おいやめいも外国、特に米国に移住して香港に残っているのは数えるほどだという。七十九歳のときに前立腺がんになったが、手術とリハビリで完治した。

 その方が言うには、四十年前の香港は、もっと自然とか広い空き地があって、伸び伸びと遊べたが、今はコンクリートジャングルで広い遊び場がない。また、香港島と九龍の間の港は当時、飛び込んで泳げたが、現在はごみが浮き非常に汚く、環境汚染を嘆いている。

 子供のときから、現状をすべて受け入れてくよくよしない性格。一人住まいで、彼の家は事務所兼倉庫でもある。すべて自分でする。一日四時間好きな仕事をし、炊事し、なんでも食べ、ビタミン剤とか栄養補給剤は取らない。疲れたときは熱〜いお風呂に入り、特に配達後の足の疲れには「ディープ・ヒート」という軟膏を塗り、よくマッサージし疲れを癒やすのだそうだ。

(サンデー掲載:2月20日)


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