エジプト・カイロ在住
鈴木眞吉
異常なアラファト氏埋葬
アラファト・パレスチナ自治政府前議長の埋葬が、同自治区ラマラの議長府内敷地で行われたのは十一月十二日の午後。この時に垣間見たパレスチナ民衆の様子は、「異常」なものだった。治安の確立した平和な家庭生活や一般社会生活と比較すると、無秩序で殺伐として、闘争だけが生活の一切であるような感覚を抱かせる。
第一は、パレスチナの議長府がイスラエル軍によって破壊され、無残な残がいのまま放置されていることだ。もちろん新議長府は建設されているが、イスラエルの残虐さを内外に印象づける意図もあるのだろう。
第二は、議長の遺体を見ようと続々と集まってきた民衆が、規制のために張りめぐらされたロープや扉を破り、前議長府や新議長府のビルの屋上につたい登って、自由勝手に敷地内に乱入し、各地で気勢を上げていることだ。完全な無法状態で、誰もそれらの不法で危険な行為を止める者もいない。
第三は、突然銃声が鳴り響いたかと思うと、機関銃の連射音がこだまして、救急車のサイレンが鳴り、民衆の中からも銃を空に向けて撃つ者がいる。民衆は銃声に驚く様子もなく、歓声を上げたり、演説したり、アラファト氏の写真に礼拝などをしている。
このような環境圏で育つ子供の行く末が気になる。命の尊さを顧みないテロリストではなく、平和を創出する人物になってほしいと願うばかりだ。