エジプト・カイロ在住
鈴木眞吉
格別な「死海浮遊体験」
ヨルダンの首都アンマンから車で約二時間、ヨルダン渓谷を下っていったところに、海面下四百メートル地点にある青一色の死海が見えてくる。アンマン・ビーチと名付けられた砂浜には、整備されたレストハウスがあり、海面には一部縄が張られ、遊泳許可区域が設定されている。湖面は静かで、ほとんど波がない。湖の向こうにはイスラエル側の山並みがうす青く見える。
死海での浮遊体験は格別だ。殊にカナヅチで体が重く、とても水に浮くようなものではないと確信している人には絶対お薦めだ。どんな人でも横にさえなれば浮いてしまう。
問題は二つ。一つ目は濃度50%を超える海水の塩辛さは半端ではないこと。目に入ったら痛さで目を開けられない。飲んだら最後、あまりの塩辛さに吐き気を催し、呼吸困難になるぐらい苦しむ。魚が住めない理由がたちどころに理解できる。
二つ目はあまりに浮力が強いため、立ち上がろうとしても足がなかなか沈まず、体のバランスを崩して転んでしまうこと。転ぶと海水を飲んだり、目に海水を入れたりするから厄介だ。岸辺の浅瀬まで戻って立てば問題はない。
この二点さえ注意し、慌てずに行動すれば、首をもたげても、両手を挙げても沈まないし、両足を上げても沈まないから、新聞や雑誌も読める。ヌメリのある海水と泥は肌をすべすべにし、温泉気分が味わえる。