米国・ニューヨーク在住
内藤 毅
ラジオ局の保守派論客
「火事とけんかは江戸の華」という古言があるが、「世界の首都」ニューヨーク市にも似通ったところがある。街を歩けば、よく口げんかしている人を見かけるし、毎晩けたたましくサイレンを鳴らしながら消防車が出動する。マンハッタン内の事務所に止まった夜は、このサイレンで、ろくに眠れなかったことを覚えている。
地元ラジオ局のトークショーを聞いてびっくりしたことがある。このラジオ局はWABCといって、ABCテレビの関連局なのだが、テレビのリベラルさとは打って変わって、パーソナリティーの多くがばりばりの保守派論客。民主党やリベラルな知識人を攻撃するさまは、「マシンガントーク」そのものだ。
彼らの一人がパーソナリティーを務める番組での一幕。一般聴取者から「若造なのにえらそうな口を利くな」と批判する電話がかかってきた。すると、このパーソナリティーは「どこが悪いのか、説明してみろ」と全くのけんか腰。相手を言い負かして沈黙させた揚げ句、電話を切ってしまった。
ラジオ局でも、リベラルな論調が目立つナショナル・パブリックラジオ(NPR)などでは、たとえ意見が対立する人物同士も、一方的な論戦はしない。やはり自己主張の激しい土地柄なのか。それとも、米国の保守派メディアは過激な人々が集まっているのか。いずれにせよ、日本ではありえない放送に少々戸惑ってしまった。