米国・ニュージャージー州在住
アンダーソン京子
「宿題の味」リンゴパイ
紅葉が日ごとに鮮やかに美しさを増す秋を迎えた。「リンゴ狩り」「カボチャ狩り」の季節でもある。
米国のリンゴはあまり甘くなく、酸味が強い。秋の色にぴったりのオレンジ色のカボチャは、直径一メートルにも成長する。
カボチャは「パイ」に使われる以外、食用には使われない。ほとんどは家の飾りとなる。直径五十センチぐらいのものはそこら中にごろごろしている。
十月三十一日は仮装をして子供たちがお菓子をもらい歩く「ハロウィーン」。その日のための飾りとして「カボチャのお化け」がある。カボチャを人の頭のように絵の具で顔を描いて飾る場合もある。中身を全部くり抜いて空っぽにし、残った肉に目や口、鼻を切り抜いて怖い顔、面白い顔を作る。そして、その中にローソクを置き、灯をともすカボチャの提灯だ。
秋はカボチャやリンゴのパイが各家庭でつくられる。おばあちゃんが腕をふるって作る家庭は「おばあちゃんの味」として、母親がつくる家庭は「お母さんの味」として米国人の心と舌にしっかりと根ざしている。
長女が中学校の時、リンゴパイを学校に作っていく社会科の宿題が出た。友達と料理の本を読みながら小麦粉をこね、リンゴの皮をむき、オーブンを使い、驚くほどおいしいパイができた。忘れられない味だった。私にとってリンゴパイは娘の宿題の味が染みついたものとなった。