南ア共和国・ヨハネスブルク在住
長野康彦
春の到来を告げる花々
数カ月続いた寒さも緩み始め、南アフリカではようやく春の気配が感じられる季節となった。
季節の変化に一番敏感なのは花。黄色やオレンジ、赤にピンクと、民家の庭先や道ばたに咲く色とりどりの花々が、日差しの中でいっせいに春の到来を告げている。
もう少したつと、紫色の花をつけた街路樹が、首都プレトリアやヨハネスブルクの街並みを染めるだろう。ジャカランダだ。原産は南米で、百年ほど前、ブラジルから持ち込まれた。ノウゼンカズラ科の落葉高木で、和名はキリモドキ。高さは十五メートルほどになる。プレトリアは「ジャカランダ・シティー」とも呼ばれ、七万本はあると言われる。最盛期の光景は壮観だ。
これが実は散るのが早く、色は違えど、はかなさは日本の桜のようだ。暖かな陽気に誘われて、花見といきたいところだが、こちらにそういう習慣はない。
鳥のクチバシのようなオレンジ色の花を付けるのはストレリチア。こちらはれっきとした南アフリカ原産で、和名は極楽鳥花。乱れるように咲く南国の象徴ブーゲンビリアも、その鮮やかな濃いピンク色が、もうすぐ街角を彩るに違いない。
まだ寒の戻りもあるが、季節はもう後戻りはできない。日差しが日増しに強くなり、短い春が通り過ぎた後には、この国に最もお似合いの暑い夏が、駆け足でやってくる。