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ロシア・モスクワ在住
宮川貴之

あきない自然バイカル

 何人かのロシア人の口から聞いたこと、「それは私の夢だ」「いやまだ行ったことがない、いつか行きたいんだ」全長六百三十六キロ、幅数十キロ、総面積三万千五百平方キロ(琵琶湖の約五十倍)。そう、バイカル湖である。この夏、約二週間バイカル湖畔でキャンプをした。

 モスクワから飛行機で六時間、五時間の時差をさかのぼって着いた街がイルクーツク。市内からバスで一時間、絶景のバイカル湖が目の前に広がる。バスを降りて、ロシア人の友人とともに重いバックパックを背負い、湖畔の道なき道をひたすら歩く。

 たどり着いたキャンプ地は、日本のそれとは大違い。湖畔ではあるが、まるで無人島のような趣で、誰もいない、そして何もないところだった。

 友人たちは食事の支度をしたり、生活に必要な小道具をつくり、トイレの場所を決めたり、あうんの呼吸で手際よく事を進める。自然に調和した小気味よい彼らの動きにひとしきり感心。

 バイカルのその美しさたるや、どんな言葉をもってしても表現できない。人格を持った人のように、多様な深い世界を見せてくれる。朝日の荘厳さ、夕日の鮮やかさ、穏やかで優しい湖面の輝き、満天の星空、何時間もだまって見つめていても、決して飽きない自然。なぜここがロシア人の夢なのか、なんだか分かるような気がしてきた。


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