エジプト・カイロ在住
鈴木眞吉
息づくキリスト教信仰
エジプトには、イエス・キリストと母マリヤ、夫ヨセフの聖家族が、当時のユダヤでの幼児殺害の難を逃れてエジプトに下った際に立ち寄ったとされるいくつかの場所が保存されている。カイロ市内やアレクサンドリアに、それを記念して建築された教会がいくつもあり、信徒の巡礼の場所になっている。
カイロからナイル川を下った下流のデルタ地帯の一角にも、聖家族が立ち寄り、デミヤナという女性キリスト教徒が殉教したとされる場所に女子修道院が建てられ、「聖デミヤナ修道院」と呼ばれている。コプト教(エジプトのキリスト教)の主要教会の一つで、神父が派遣され、近隣のコプト教徒が巡礼で訪れる。
修道院の周りには、巡礼者が宿泊する白いテントが数百個も設置され、近隣のキリスト教徒が代わる代わる巡礼にやって来て生活し、祈りをささげている。聖画などを売る店が百数十軒も軒を連ねて市場を形成し、終日賑わいを見せている。巡礼者は神父を見つけると、われ先に走りよって衣にさわり、手や杖にキスをしてキリストの恵みにあずかろうと懸命だ。
エジプトはイスラム化されるまではコプト教が盛んで、ギリシャ文字を取り入れたコプト文字が使用されていた。コプト語の会話禁止政策でコプト語は消え去ったが、コプト教徒の一部が相続している。コプト教徒には自分たちこそ真のエジプト人だとの誇りがある。