世界の街角便り
世界の街角便り
ワシントン
ニュージャージー
モンテビデオ
ブエノスアイレス
マットグロッソドスル
カイロ
テルアビブ
バンコク
ウランバートル
ソウル
京畿道九里市
ベルリン/ノイス
ヨハネスブルク
クアラルンプール
マニラ
香港
ニューヨーク
BACKを見る

中国・香港在住
下根 森

玄関の扉に見る警戒心

 私は香港に来る前、キリスト教徒の多い米国に住んでいたが、近所の人は見知らぬ隣人の私に、温かくスマイルであいさつしてくれたことを今でも忘れない。香港人は友達に対する態度と見知らぬ人に対する態度が違う。何重にも心の扉があるようだ。

 十年以上前のことだが、香港の家庭(二十階建てのアパートで、各階に二十戸)を訪問する機会があった。そのときはとても驚いた。訪問したすべての住居の玄関には鉄の扉があった。ドアベルを鳴らしてすぐに面会かと思うとそうではなく、まず「玄関の戸の鍵」がはずされ「玄関の戸」が開けられる。そして安全を確認し、「鉄のドアの鍵」をはずし、「鉄のドア」を開けて「こんにちは」だ。警戒心の強い方は鉄のドアを開けずに話を聞く。

 この状態は今でも変わっていない。大きなアパートには警備員が交代で(二十四時間体制で)警備する。最近は失業者も増え、外国人や大陸から出稼ぎに来る中国人の起こす問題とやらで、住民は神経過敏だ。

 通りを歩く時はハンドバッグとか手提げカバンは脇に抱え、特に人が多い所では、不審な人が近づいてくると、「サッ」と自分の前に持ってきて取られないようにする。急ぎ足で通る人に、反射的にそんな行動をする女性をよく見かける。

 十年前はそんなに神経質ではなかったような気がするが、これが悪化すると対人関係はどうなるのだろう。


この記事を友達に教える

香港HOME

(C)Sekai Nippo Co.Ltd(1975-) Tokyo,Japan.
voice@worldtimes.co.jp