南ア共和国・ヨハネスブルク在住
長野康彦
サムライブームおこる
ハリウッド映画「ラスト・サムライ」の影響からか、ここ南アフリカでは「サムライ」がブームだ。現地の友人はこの映画を四度も見たそうだ。それを聞いて私は叫んだ。「マジで四回も見たの!」「そうだよ」「そんなに面白いのか?」「最高さ。繰り返しもっと見たいよ」
ところで最近、ある携帯電話会社がテレビCM作成のため、日本人を早急に探していると知人から連絡を受けた。「サムライ」の役どころを募集しているという。その昔、剣道はやっていたが、カメラの前での演技には全く興味がない。しかし知り合いからぜひ、と頼まれたら嫌とは言えず、しぶしぶ広告制作会社事務所に足を運んだ。
驚いたことに、東洋人がたくさんいるではないか。しかし聞こえてくる会話は中国語や韓国語。南ア在住の日本人は少ないため、中国人でも韓国人でもみんな来い!ってな感じで、かき集めたのだろう。
オーディションが始まるらしく、一人一人、別室に呼ばれる。ビデオカメラの前で名前と年齢を告げ、サムライの刀さばきを演じさせられる。しかし重要なのは顔の、それも目の表情らしい。とにかく怖さを感じさせないとダメだと、担当者がしきりに力説している。
きっと渡辺謙ばりの「こわもて」を捜していたのであろうが、おあいにくさま。ソフトな顔立ちの私は、さっさと事務所を後にしたのであった。